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ポートレートの撮り方・ライティングと露出

<Back in Black>

写真を撮り続けていると色々なシーンや被写体を撮影していくうち目標を見失ってしまうような感覚に陥る時があります。

そんな時は初心に還るのがいいのかもしれません。

写真の歴史は白黒・モノクロームから始まりました。
多くの歴史的写真が標準レンズとモノクロームフィルムで撮影されています。

モノクロームとは簡単に考えると「白」と「黒」ですがその間には無限の「灰色」が横たわっています。
この愛おしいグレイをどうやって描き出すのか。光をどう使って闇から無限を引き出せるかチャレンジしてみましょう。

モデルはYさんにお願いしました。

前回お届けした「ポートレートの撮り方・オールドレンズで挑戦」は屋外での自然光下での撮影でした。
今回は簡易的にスタジオを組んでライティングにも挑戦しています。

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このカットは画面左上方にメインライトを据え、画面右にサブライトをあて髪の毛の質感、表情を描き出すように光を回しています。
一般にメインになるライトは被写体前方の上方が望ましいですね。
一灯だと陰が多くなりますのでサブライトでバランスをとるようにセッティングします。

今回は肖像写真をイメージしていますので1X1のスクエア(真四角)フォーマットで出力しています。

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プロフィール写真的なイメージ。
明るく健康的な表情を演出。
上半身は斜めになってもらい視線を正面から受け止めます。

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少し光を弱めてフラットな印象で再現。
瞳にキャッチライトが入るよう意識したライティングでぼんやりした感じにならないように。
構図は視線方向の余白をとり落ち着きのある画面にします。

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髪をアップにしてGibson Melody Makerを振り回してもらっています。
女性ギタリストにも愛用された機種なので収まりがいいかな。
軽く頭を振っているところを狙い、シャッター速度を遅めに設定して顔や髪の毛に動きを持たせます。

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振り返ってもらうようなイメージで撮影してみました。
背中から目線を導きます。

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ポートレートを撮影する際には意図によってはこのようなバックショットもアリです。
ライトは背中からメインをあて、表情をサブのライトで描きだすようにしています。

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露出を極端に切り詰めて表情のラインだけで語ってみる。
暗いカットでも必ず瞳に光が入るようにライティング。
背景とのバランスに注意します。

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往年の名機 【ライカM3】で撮影しているようなイメージ。
雰囲気を出すため実戦的な構え方を教えてみました。
M3は等倍ファインダーなので両目を開けて撮影すると一眼レフとは違った撮り方をする事ができます。

スタジオでの撮影はここまで。
おつかれさまでした。


ここからはロケに出かけます。

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湯島聖堂の大成殿で撮影。ここは壁が黒塗りで実に渋いところです。
黒い壁に黒い服という難しい露出条件に挑みます。
常に基準になるのは人の肌です。
マルチパターンなど評価測光の場合は-1.0EV前後のアンダー露出に設定して補正値を変えながらいくつか撮影しておくと良いと思います。
スポット測光の場合は人物のあごの下で陰になっている部分を基準にして補正値を変えてみましょう。

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こちらは逆に白バック。一見スタジオでの撮影に見えますが屋外での撮影です。
評価測光での撮影ですが+2.7EVの露出補正をかけています。EVF(電子ファインダー)で効果を確認しながら補正値を調整しています。
日陰に立ったモデルさんを際立たせるため背景は白く飛ぶようにしています。

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日差しが強かったので帽子をかぶってもらいました。
眩しいと目を開けにくくなりますからシーンによっては活用しましょう。
露出を測る際は日陰になる部分を基準にします。

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スナップショット風に動きのあるポーズで。
背景より衣装の黒を強めに調整しています。


さらに場所を変えて撮影してみましょう。

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望遠レンズで背景を大きくぼかしていきます。
なんとなくボケの作例になってしまうのが惜しいロケーションだったので石柱を画面に取り込んで安定感を出してみました。

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古めの望遠レンズと逆光を利用して光の中から滲み出す美しさを表現してみました。
夢の中で出会ったような不思議な印象を与えます。

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ロケ場所は迎賓館の前。モデルさんにゲートの飾りを見てもらっている間にいい表情をいただきました。
白塗りの柵なのできついボケ方にならない(だろう)事は事前のロケハンで確認済みでしたがいい感じになって一安心です。

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バックショットにはいつも物語が宿るよう。
光の中から何が見えてくるかはまだわかりませんが素敵なものが現れるといいですね。

今回は全編モノクロームでお届けしました。
黒を着こなすのは難しいといいますが幸いにもYさんにモデルとなっていただき完成させる事ができました。
貴方がいなければこの回は作れなかったでしょう。
ありがとうございます。

今回の機材

使用カメラ: SONY α7R ILCE-7R
使用レンズ:Leitz Summicron R 50mm F2, Elmarit 180mm F2.8
Summicron M 90mm F2 , Elmar 65mm F3.5
※全てKIPON マウントアダプーを介して装着しています

以上、elmarがお送りしました。