皆様おはこんばんちわ。
ようやく肌寒さもなくなり、暖かくなってきましたね。
同時に花粉が増えて、くしゃみや鼻水が止まらずティッシュが手放せなくなりましたが…。
どうもmegです。
今回はベストバイで軽く触れたAstell&Kern KANN MAXを取り上げたいと思います。
Astell&Kern(以降AK)は韓国IRIVER社の高価格帯オーディオラインナップ、主にDAPに冠せられる名称となっています。
ちなみに、Astellは古代ギリシャ語で「星」、Kernは「中心」を意味する、とのこと。(Wikipediaから転載)
AK DAPの壁紙はこういうところから来ていたんですね。
さてさて、AK DAPというとべらぼうな価格のするDAP、という印象が強いのではないでしょうか?

同社SP3000M
こういうのですね。
このあたりはいわゆるハイエンドDAPゆえの性能、価格設定となっており、やはりこれらのインパクトが大きすぎて疎遠になりがちです。
とはいえ、AKの中でも比較的安価なラインナップも存在しています。(安いとは言ってない)
ちょっと前モデルなりますが、AK70やSR25などがそれにあたりますね。
AKを冠するモデルはだいたいが20万円~、みたいな印象が強いですが、今回紹介するKANN MAX含め10万円台のラインナップとなっています。
AKを冠するにしてはだいぶ安価なのです。
たまたま処分価格(7万弱)で見つけなければ、なかなか手の出せる価格帯ではありません。
過去オーディオ記事で何度も書いていますが、これくらいの価格帯だとイヤホンやヘッドホンの高音質モデルが買えてしまう価格です。
オーディオにおいては、やはりイヤホンやヘッドホンが体感で高音質を感じられる部分であり、これらがあってこそのハイエンドDAPという側面はやはり拭えません。
といったところで閑話休題。
KANN MAXに触れていきたいと思います。
AKにおける【 KANN 】シリーズは現在までで第5段までリリースされているモバイル出来るハイパワーDAPというのが基本コンセプトのシリーズです。
ちなみにKANN MAXは第4弾のモデル。
最新は第5弾のULTRAとなっています。
KANNというとモバイル端末としては大きく、重い筐体がかなり特徴的なことで知られているDAPです。

アルミ筐体で安っぽさを感じさせません

彫り込みで銘が打たれてるのシンプルにいいですね

ボリュームノブ周りのインジケータLEDはAK機の特徴の1つ

3.5mm/2.5mm/4.4mmの3系統確保してくれるのマジで助かる

ジャックはUSB-C、SDスロット剥き出しはちょっと気になる
しかし、デカイです。
手持ちと比べると差がけっこうあります。
しかしながら、この大きさや重さを犠牲にして手に入れたものは他DAPとは比較にならないほどの圧倒的なパワー。
なんとGAINは4段階で最大15Vrmsの出力を誇ります。
※スマートホンジャック出力などはいいところ1Vrms。
ここまでの出力が必要になるイヤホン、ヘッドホンなどはほぼない、といって差し支えないですが、DAPから得られるパワーについては大きい方がイヤホン、ヘッドホンの選択肢は広いです。
だいたいの環境においては5Vrmsくらいあれば、ほとんどのヘッドホンが鳴らせると思います。
よくメーカースペック表で見られるインピーダンス(=Ω)値が高いものは必要な音量を得るために、基本パワーがかなり求められます。
こういう時にDAPが必要、ってことですね。
各ヘッドホン毎に能率(=dB/mW)という値があり、これもまた出力に関わってきますが文字だけで埋め尽くされそうなので詳細は省きます(苦笑)
とりあえず、
1.高インピーダンス+低能率→より高い出力が必要
2.高インピーダンス+高能率→高い出力が必要
3.低インピーダンス+低能率→高い出力が必要
4.低インピーダンス+高能率→出力はほぼ不要
これくらいの認識で大丈夫です。
自分の使ってるヘッドホンのメーカーページなどを見るとわかりやすいかもしれません。
アンプが欲しくなる、必要になるのは1~3です。
実際に使うイヤホン、ヘッドホンにもよりますが、音量を上げていって最大ボリュームの6割程度で鳴らせるのが理想ですね。
正直、megも完全に理解しているわけではないですが、大筋は以下で合っていると思います。
要は
○Vrms…負荷なしでアンプ出力できる最大パワーの基準値(実効値)
ボリューム数…上げられる電圧の最大幅
ここまでが、DAP依存なわけです。
実際はイヤホンなり、ヘッドホンを繋いで最終的なパワーが決まります。
パワー=(電圧÷抵抗)x電流
※抵抗がヘッドホンになります。
ボリュームを上げるというのは電圧を上げることです。
電圧を上げていけば、流せる電流限界まで計算式の上では無限にパワーを上げられることになります。
ただし、ケーブル側に流せる電流の許容限界だったり、DAP側で出せるパワーの限界値というものが存在します。
その限界の値を数値化したものがVrmsと考えるとわかりやすいかもしれません。
KANNシリーズはこのDAP側の出せるパワーを追及したモデル、ということですね。
横道に逸れたついでによく出てくるDAPワードもちょっと解説。
・S/N比
Serial to Noiseの略語です。
ハイパワーDAPであればあるほど、メーカー謳い文句として低ノイズなどと書かれますがこれのこと。
端的に言うと音声信号を流しているときにノイズがどれだけ出てしまうか、という値です。
ミドルスペック以上ならほとんどの場合、低ノイズフロアを実現していますが、ここの詰めがあまいとホワイトノイズや曲送り時にプチプチと鳴りがち。
低インピーダンスのヘッドホンがメインなら見ておいた方がよい値になります。
・歪み率
電圧を最大値で流したときの音の歪み度合いを表す値。
図解
ちょっと数学的になりますが適正出力であれば綺麗な正弦波となるはずです。
ただ、最大出力時、あるいそれに近い出力の際は山と谷のカーブが綺麗な正弦を描いてくれなくなります。
これが歪み率、この歪みが大きいと音信号的には音割れなどの破綻要因となり得る値。
最大出力で使うということはほぼないでしのうけど低いほど破綻しにくく、綺麗な正弦波で出力できる限界値の高さを数値化しているわけです。
高インピーダンス+低能率のヘッドホンを使う場合はかなりボリューム(電圧)を上げる必要があるため、最大出力付近で運用を余儀なくされそうなら気にしておくべき値となります。
上記を踏まえて、KANN MAXのスペックを見てみましょう。
圧巻なのはやはりバランス出力+最大GAIN時のパワーですが、ほとんどここまでのパワーは必要としません(笑)
だいたい1段階上げたGAINパワーで事足りてしまいます。
モバイル向けでの利用ならやや過剰なスペックといってもいいでしょう。
とはいえ、ほぼどんなイヤホン、ヘッドホンも鳴らせるという安心感は偉大です。
それでは肝心な音質についてはどうでしょうか。
一言でいうならば非常にパワフルなサウンド、といっていいと思います。
音源を交えてレビューしていきます。
使用したイヤホンは最近巷で評判のいいDUNU-TOPSOUNDからKimaで鳴らしてみました。
新鋭メーカーなのですが、このメーカーのイヤホンは性能と価格バランスがいい意味でバグっているので、ぜひお試しください(笑)
ダーリン Mrs.GREEN APPLE
メロ部のボーカルとピアノでの弾き語りが印象的な曲調です。
アカペラほどではないですが、こういったシンプルな状況ではホワイトノイズのような低ノイズが非常に目立つ場合があります。
その点、KANN MAXはハイパワーのわりにこのあたりはまったく感じさせません。
ROSE HANA
低音打ち込み音がボスッボスッと腹に響くように力強さを感じます。
メロディラインは低音が目立ちますが、ボーカルラインは総じて高音です。
低音の広がりには十分な音場確保している印象で、その上で高音ボーカルが走ってるのが非常に心地良いですね。
海獣 サカナクション
ベースライン格好よすぎだろ!
音の粒、というほどの細かさはないですが、音と音の間にゆとりを感じるので情報量が多くなっても破綻しづらいのは評価できます。
とりあえず、ベースやキックドラム、ピアノはこのイヤホンで聴く限りは特に評価したいです。
百花繚乱 幾多りら
手持ちのメインDAPであるCOWON PLENUE2 Mark2とはまた違った音質です。
これはかなりのモニターサウンドで分解能が高く、音の粒が細かいのが特徴だと思っています。
一方、KANN MAXは丸みを帯びたウォームサウンドです。
リスニング向きのサウンド特性かと思います。
あくまで手持ちのDAP比較では、分解能や音の粒の細かさといった繊細さがPLENUEにやや劣るものの、全体的なバランスとして抑揚が際立つ音作りです。
ハイパワーDAPらしい力強さを感じる一方で、繊細さを垣間見えるような感じが気に入っています。
そして、今あるmegの環境においては何であろうが鳴らせています。
2021年モデルなのもあり、内蔵スペック的に外部アプリ(主にサブスク)を利用しようとすると動作が重くなりますが、スタンドアロンで使う分には十分なスペックを持っています。
音楽ライフに彩りを持たせてくれる機種であり、これだけでもメイン機として使っても問題ないクオリティを持っています。
昨今では、スティックDACで有線を使うという方が一般的になりつつありますが、このKANNシリーズなら明確なパワー差でもって差別化を計れるのではないでしょうか。
有線イヤホンを利用する際には、ぜひDAPも考慮いただければと思います。
以上、megがお送りしました。