夏に向かって気温も上がってきました。
気分も上がってきて撮影に出かけたくなりますね。
お久しぶりです、elmarです。
今回はコシナから発売されているフォクトレンダー HELIAR 40mm F2.8 Aspherical VMマウントレンズを入手したので試していきます。
このレンズはライカMマウント互換のVMマウントレンズで距離計に連動しフィルム、デジタルのM型ライカに使用できます。
クラシカルな外観でオールドカメラにも合いますしマウントアダプター経由で現代のミラーレス一眼でも使用できます。
主な仕様は以下のとおり
焦点距離 | 40mm |
最短撮影距離 | 0.7m |
F値 | F2.8 |
最小絞り | F22 |
絞り羽根 | 10枚 |
重量 | 131g |
マウント | VMマウント |
絞り羽根は10枚で自然なボケが期待できます。
もちろん、マニュアルフォーカスなのでピントは自分で合わせます。
手持ちのライカM3に取り付けるとこんな感じです。
詳しい方には自明ではありますがこのレンズのスタイルはねじマウント時代のいわゆるバルナック型時代のデザインでL/Mアダプターを装着してM型に装着したイメージを再現しているようです。
Mマウントアダプターを使用してNikon Zfに装着するとこんな感じ。
カメラの標準レンズといえば50mmという時代が長かったですが現代では50mmクラスは一眼らしい画像を楽しむ大口径レンズとしての使い方が一般的になっています。
スマートフォンの画角は28mmクラスが主流でしたが最近は24mmクラスも多くなっていますのでより広角寄りになる傾向はあるのでしょう。
初めてカメラを購入するときには標準ズームレンズ(Nikonなら24-70mmなど)がレンズキットとして設定されている事が多いのですがF4クラスのものが多く一眼カメラならではのボケ描写には今ひとつ物足りない場合があります。
フィルム一眼レフの時代では標準レンズである50mm F1.4クラスのレンズは比較的廉価でありながらも高性能であり各メーカーの特徴がよく現れるレンズでもありました。
標準レンズは一眼カメラならではの描写を表現するための初めの一本に最適なレンズの一つですがミラーレス一眼が主流の現代では50mm F1.4クラスのレンズは各メーカーともに「大口径レンズ」の位置付けとなりやや高価となっています。
elmarもNikon Zfc導入後にNIKKOR Z 40mm f/2(SE)を購入してレビューしました。
新製品レビュー【NIKKOR Z 40mm f/2(SE)】
APS-CセンサーのZfcでは中望遠となりますがフルサイズセンサーのNikon Zfでは準広角あるいは標準画角レンズとなります。
50mmレンズよりはちょっとだけ広角よりになりますが使いやすい焦点距離と感じています。
今回は手持ちの下記レンズで撮影して行きます。
カメラはNikon Zfを使用し、全てJPEG撮って出しです。
フォクトレンダー HELIAR 40mm F2.8 Aspherical VMマウント
F2.8開放での撮影
ピントの合った花菖蒲のコントラストが際立ちます。
周辺光量はやや落ちますが自然でよいですね。
中央のハルジオンにピントを合わせています
ボケ方は粘ってからストンと落ちるようなイメージですがアウトフォーカス部のコントラストが低めになるようで往年のライカレンズを彷彿とさせます。
手摺りの金属の質感がよく再現されているようです。
背景の草木が立体感を演出します。
鎌倉の長谷寺にて撮影
屋根瓦にフォーカスを持っていき手前の草木を前ボケに入れています。
距離のある撮影でも結構ボケてくれて35mmクラスより表現の幅は広くなると感じました。
画面上部の草むらにピントを合わせていますが少し絞り込んで被写界深度を稼いでみました。
手前の鯉はちょっとピンぼけ気味ですが風情のある一枚になりました。
老舗の旅館にさりげなく飾られていた季節の花々。
木材の質感がよく再現されています。
街中のスナップ撮影にはF11以上に絞って3m前後に設定しておくと被写界深度が深くなり手前から奥までピントの合った写真になります。
F11まで絞ると隅々まで解像してスッキリした描写です。
暗部もドンッと落ちるわけではなく常用レンズとして最適かもしれません。
埼玉県幸手市権現堂公園にて
草を喰むヤクシマヤギさん。
曇天でしたが毛並みは自然に描写されています。
見頃にはちょっと早かったのですが長谷寺の紫陽花です。
手前の花にピントを合わせると背景のボケ方がなだらかで自然です。
レンズによっては撮影距離や背景との距離によってボケ方が変わるものもありますが流石に現代の設計で破綻なく描写されるのは美点でしょう。
新橋のTAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYOにて期間限定で2025年6月中は展示されている往年の6輪F1マシン「Tyrrell P34」
現代のF1のようにカーボンファイバーの強固なボディではなくアルミモノコックボディにFRP外装で剛性も低かったものと思われます。
6輪車は前輪を小径の4輪とすることにより前面投影面積の減少、ブレーキ性能の向上がありグランプリ1勝を挙げますが小径タイヤの性能がアップグレードされず翌年には戦闘力を失ってしまいます。
当時のフォーミュラーカーに多かったスポーツカーノーズ。
ボルトなどの質感もバッチリです。
エンジンはフォード・コスワースDFV
フレームやエンジンの金属や外装の塗装の質感もキレイに描写されています。
モノクロームでも撮影してみました。
昼下がりの新橋駅周辺。
夜には賑やかになる飲み屋街ですが昼間は時の流れもゆったりしているようです。
カリカリの描写ではなく自然に対象を写しとるイメージでライカレンズに例えるならズミクロンよりズマロンといった印象が強く感じられます。
流石に現代のレンズですから夜景や逆光にも強いです。
但し、マウントアダプター経由で使う場合はアダプターとボディー間での内面反射の影響が出る場合がありますのでご注意を。
比較
ここからは手持ちの下記レンズで撮影して行きます。
フォクトレンダー HELIAR 40mm F2.8 Aspherical VMマウント
フォクトレンダー ULTRON 40mm F2 SL Aspherical (Nikon F)
※リンク先はリニューアル版のSLIIsですが光学系は継承されているようです
ULTRON 40mm F2 SL Aspherical をマウントアダプター経由でZfに取り付けるとこんな感じです。
絞りF2.8
HELIAR 40mm F2.8 Aspherical VM 以外は開放F値がF2のためF2.8まで絞っていますので不利なはずですが周辺光量がやや落ちているくらいで大きな差はないようです。
絞りF5.6
F5.6まで絞るとどのレンズも安定した解像度で甲乙つけ難いです。
まとめ
フォクトレンダー HELIAR 40mm F2.8 Aspherical はクラシカルな外見ですが非球面レンズの恩恵か高画質で小型軽量なシステムが組めます。
ライカMマウント用のマウントアダプターがあればZマウント以外でも使用できますのでお手持ちのカメラに合わせて用意すればそこにはライカMレンズの沼が拡がっています。
古今東西の名レンズが待っていますからキットレンズに飽きたら飛び込んでみませんか?
おまけ
冒頭でライカM3に取り付けましたのでフィルムを詰めて撮影してみました。
ヘリコイドの動きもスムーズで連動距離計での使用は全く問題ありません。
M型ライカの命とも言えるファインダーですがレンズによって視野が広くなったり狭くなったりはしません。
交換レンズによって撮影範囲が変わりますがファインダー内に対応したブライトフレームが現れます。
M3でのブライトフレームの表示はこんな感じに見えます。
M3はフレームの角が丸い独特の表示です。
M5ではフレームがこのように見えます。
M6以降は28mmと75mmが加わりますがレンズごとに機械的に切り替わりますのですぐに慣れると思います。
このようにちょっと複雑なのですがいつの世代でも基本は50mmです。
HELIAR 40mm では50mmのブライトフレームが表示されますのでフレームより少し広い範囲が写る事になります。
フィルムはKODAK GOLD200を使用し現像後にスマホ転送サービスを使用しています。
このフィルム、実は使用期限切れの天然物です(笑
フィルム装填時には空シャッターを2-3回切るのですがこのカットはすぐに撮影開始したため一部感光しています。
1年前に使用期限が切れていますので本来の性能では無いのかも知れませんがフィルム写真はノスタルジックで柔らかい印象です。
Mマウントのフィルムカメラはライカ以外にはコシナ製のフォクトレンダー/ベッサシリーズやZEISS IKON、Konica ヘキサーRF、デジタルならEPSON R-D1シリーズなどがありましたが現在では生産されておらず入手困難です。
唯一、ライカだけはデジタル、フィルムとも継続して供給しているのはやはり凄い事です。
以上、elmarがお送りしました。