今年も暑い夏がやってきました。温暖化に向かっているのか、局地的な豪雨が各地を襲っていますが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
お久しぶりです、elmarです。
葛飾柴又帝釈天の参道の看板猫も暑さでぐったりしています。
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タイトルでジミヘンやリッチーの戦慄の旋律を思い浮かべた方々、ごめんなさい。
今回は広角レンズのお話です。(音楽は聴く方専門なので)

最近、Canon EOS 5Dを購入してしまいました。当然ながら中古品です。
デジタル一眼3台目となり、数えたくないくらい(苦笑)の台数のフィルムカメラと同等の画角が実現しました。
やはり、画角をミリ数で脳内換算してレンズを選択するのが一眼レフの醍醐味ですからフルサイズで撮影してみたくなってしまったワケです、ハイ。
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以前、お話しした通り、Canon用のレンズはEF 20-35mmF3.5-4.5を持っています。
このレンズは重量はともかく、フィルター径77mmの大口径のうえに専用の花形フードが結構デカイ!それでも常時取り付けて持ち歩いています。
35mmフィルムフルサイズの20mmのレンズの画角は約94°となりますからAPS-Cサイズのデジタルカメラでは12mm相当の画角になります。
このような超広角レンズは使いこなしにちょっとしたコツが必要です。

EOS 5Dは幸いにも前オーナーがフォーカシングスクリーンを方眼マットEe-Dに交換されていたため、広角での撮影は非常に行いやすくなっていました。
方眼マットスクリーンにはあらかじめ方眼紙のような線が引かれています。この線を参考にカメラの水平垂直を正確に合わせる事が可能です。
ちなみに最近のデジタル一眼レフには液晶表示で表示できるものもあります。

今回はこのレンズの主に広角側を使って超広角レンズの世界をご紹介します。
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超広角レンズは人間の視覚とは異なり、遠くのものも近くのものも遠近感が誇張され立体感が演出できます。このため、例えば高層ビルなどを
下から見上げて撮影する極端に上すぼまりになり、見た目との差異が大きくなり、非日常の雰囲気の演出ができるかも。

レンズの設計上、理論値通りのものは製作が難しくどうしても歪曲収差(ディストーション)が残存します。
収差の出方はレンズによって異なりますが、ズームレンズの場合、広角側でタル型収差、望遠側でコマ型収差が出やすい傾向があります。
つまり、まっすぐなものがわずかに歪んで写ってしまう訳です。この収差を可能な限り補正したレンズが各社から発売されています。
Canon EFレンズの場合は「L」シリーズ、Nikonはシリーズとしては打ち出してはいませんがF2.8クラスのレンズがそれに相当します。
各社、明るいレンズをラインナップしていますので、どうしても大きく重くなってしまう傾向があります。
また、製造コストも非常にかかるため、高価になってしまうのはある程度、やむを得ません。

しかし、最近のデジタル一眼レフ用に設計されたレンズであれば、標準ズーム系でもかなり良好に補正されていますから、さほど神経質にならなくても大丈夫です。
各メーカー純正のRAW現像ソフトには収差補正の機能が組み込まれています。(極私的には収差も味の一つなのですけども・・・)
私の持っているEF 20-35mmは設計が少々古く、Canon純正ソフトでは収差補正が効きませんが、フィルム時代は補正など不可能でしたし、撮影アングルを調整して歪曲 収差を目立たなくして撮影したり、撮影意図によっては遠近感の誇張と組み合わせ、あえて強調したりして撮影する事が一般的でした。

それでは、超広角使いこなしのヒントをいくつかご紹介します。
その1:常に水平垂直を意識するべし
残存収差はどうやっても消せませんからカメラの位置を被写体に対して正確に合わせることで目立たなくしちゃいます。
その2:可能な限り絞る
レンズの絞りを絞り込む事によって収差はいくらか補正されます。その1と合わせて使うとより効果的です。
その3:気にしない
「3」だからアホになったのではなく、これも一つの手段です。写真はどう撮るかの道もあれば、何を撮るかの道もあります。被写体に向かってとにかくシャッターを切るという先手必勝の精神でもあります。個人的にはこっちが好きですが・・・。
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中野ブロードウェイ近くの路地裏で撮影しました。画面右側の壁が若干、円弧状に歪んで見えます。
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こちらは「矢切の渡し」です。某有名マンガを思わせる風情であります。石は売っていませんでしたが「その3」の意気込みでパシャンと撮影しました。

次に写り込む範囲の違いをご覧ください。
中央のオブジェが同等の大きさになるように被写体との距離を調整して撮影しました。
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20mmで撮影。画面奥のビルのサイズに注目して下さい。
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35mmで撮影。ビルとビルの隙間も詰まったように見えます。
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こちらは、被写体によっては気にならない例です。木は微妙に曲がったり、傾いたりしていますからね。
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この建物もねじれた形状をしているので形の面白さを狙ってみました。
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夕刻近くに建築物の反射を取り込む様にして撮影しています。
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なんとなく、人の顔に見えませんか?最近の顔検出機能付きデジカメは認識するでしょうかね。

超広角レンズは他にも画面周辺の光量が低下する傾向があります。
これを抑えるため、特に一眼レフ用のレンズは前玉を大きく設計し、光量を確保しているようです。
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35mmで撮影。野良ネコさまゆえ、一定の距離を保たれてしまいます。20mmで撮影すると更に周辺光量は低下していきます。
被写体によっては印象を強める効果を発揮します。

なお、女性ポートレートの撮影に使う場合はアングルに十分に注意して下さい。近くはより大きく、遠くはより小さく写りますのでローアングルから撮影すると下膨れに写ってしまいます。特別な意図がないならば避けたほうが無難です。

こんな感じにいわゆる腹ボテになってしまう傾向があります。
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このように、使いこなすには様々なテクニックが必要になる事もありますが他の撮影にも応用可能ですので失敗を恐れずドンドン撮影してみて下さい。
じゃんぱら各店舗ではデジタル一眼レフ、交換レンズも高価買い取り中です。ストロボなど、アクセサリも買い取り可能ですので
お近くの店舗までお問い合わせ下さい。

最後に涼をお届けできれば幸いです、日光・霧降高原の「霧降の滝」をご覧に入れます。
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以上、elmarがお送りしました。