このタイトルにピンと来たあなたは「ガロ」世代!お久しぶりです、elmarです。
さて今回お送りしますネタはデジタル一眼レフ用のレンズのお話です。
ちなみにわたしのハンドルネームの由来は(畏れ多くも)こちらの名レンズからいただきました。

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さて、先日じゃんぱら新宿店にてデジタル一眼レフを購入しました。機種はPENTAX *ist DL2です。
600万画素CCD搭載、手ぶれ補正なしと、標準的なスペックですがペンタックスKマウントレンズが使用可能で、とにかく安い点で購入を決意しました。
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レンズはPENTAX FA 50mmF1.4 をチョイス。デジタル一眼で使用する際は35mmフィルム換算で80mm前後の画角になります。
標準ズームを選択しなかったのは、やはりレンズの明るさが欲しかったからです。
使用してみると、カメラ、レンズの動作音は少々勇ましくにぎやかな印象ですが、逆に写真を撮っている気分にさせてくれます。

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絞りF11 絞り優先AE

せっかくKマウントのカメラを導入したのですから、いろんなレンズで試してみたいと思います。
ペンタックスKマウントもそうですが通常、一眼レフのレンズマウントはワンタッチで取り付け、取り外しが出来るバヨネットマウントになっています。
このバヨネットマウントは各メーカー専用となっているものがほとんどで、他社製のものは装着できなくなっています。
しかし、いにしえの時代(~1970年代くらいまで)にはこのレンズマウントはスクリュー(ネジ)マウントのものがあり、フランジバック(マウントからフィルム面までの距離)とネジ径、ピッチ同一であれば互換性がありました。(もちろん、例外はありましたが・・・)
ペンタックスもKマウント以前はこのスクリューマウントを採用しており当時の旭光学(現ペンタックス)ではタクマーねじマウントと呼んでいました。
このマウントは当時の東ドイツのプラクチカやCONTAX D型に採用されていたプラクチカマウントと共通でその口径から現代では「M42マウント」と呼ばれています。
このマウントを採用したカメラ/レンズは世界各国で作られたので、中古市場でよく見かけます。
この「M42スクリューマウント」レンズをKマウントに変換するアダプタがPENTAXから現在も供給されています。
つまり、30年以上も昔に作られたレンズが現役で使えるのです。もちろん、取り付けた場合はピント調節は手動になりますし、露出も絞りが本体と連動しませんので絞り込み測光となります。
ペンタックス製のアダプタはタクマーレンズ用でボディに装着後、レンズ側の自動絞りを解除(AからMへ)すると絞り込み測光で撮影ができますがレンズに自動絞り切換機能がないレンズを使用すると開放絞りしか使用出来なくなってしまいます。
カメラ用品メーカーが発売しているアダプターにはこの問題に対応した構造になっているものがあります。
私はHANZAのアダプターを使用しています。

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いくつか手持ちのレンズがありますので、ご紹介します。

Mayer-Optik Oreston 50mm F1.8
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恐らく東ドイツ(!)製。軽合金を使用していてサイズの割に軽いレンズです。反面、素材が柔らかいためか、筐体が歪みやすいのが難点。
表面のゼブラ模様がイイ感じ!最短撮影距離は33cmとちょっとしたマクロレンズとしても使用可能。

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絞りF5.6 絞り優先AE

最短撮影距離付近で撮影しました。*istDL2でAEモードで使用すると露出アンダーになりますが、露出を切り詰めたい被写体でしたのでそのまま撮影してみました。描写は柔らかく「ふうわり」といった感じです。

富士写真フィルム Fujinon 55mm F1.8

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Fujica ST701系用の標準レンズのようです。おそらく70年代のものと思われます。

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絞りF8 絞り優先AE

解像力はそこそこですが、被写体の輪郭を強めに描き出しているようです。また緑や青の発色は独特で妙な説得力があります。

旭光学(現ペンタックス)Super-Takumar 55mmF1.8

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名機ペンタックスSP時代のレンズ。子供の頃、このレンズで撮影された思い出のある方は多いはず・・・。

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絞りF5.6 絞り優先AE

高度成長期時代の上を見ていた気概を感じさせる切れ味の鋭い描写です。タクマーレンズの名称の由来は創業者の弟の名前であり「切磋琢磨」のタクマにも通じる所から名付けられたようです。

ペンタックス FA50mmF1.4
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現行フィルムカメラ用標準レンズ。こちらはKAFマウントのレンズです。もちろんデジタル一眼でも使用できます。

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絞り F4.5 絞り優先AE

まさに標準レンズといった破綻のない描写。なんとなく「ゆとり」のような柔らかさも感じられます。
アブラゼミが成虫になるまでには6年かかります。ということはこのセミも21世紀生まれなのですね

一眼レフの醍醐味といえばレンズ交換が出来る事です。撮影したい対象にあわせて、あるいは自分好みの描写のレンズを選ぶのも一つの楽しみ方だと思います。
今回テストした50mmクラスのレンズはフィルムカメラの時代は標準レンズと呼ばれ、カメラとセットで販売されている事がほとんどでした。
つまり、本数が多く出荷されていますので比較的、安く手に入ります。
だいたい、3,000円から8,000円くらいでしょうか。
レンズが明るく絞りの選択範囲が広いため、被写界深度のコントロールが行いやすく表現の幅が広がるのも魅力です。
当時のフィルムの感度が低かったので明るいレンズが必要だったのでしょう。
この時代はレンズ設計にコンピューターは導入されていませんから各メーカーで描写にかなり差が出ます。
光学、機械技術はドイツを初めとする欧米が最先端の時代でしたから当時の日本製レンズは「追いつけ、追い越せ」とまさに切磋琢磨していたわけです。
そのためか、テストデータに出やすい「解像度」「コントラスト」などが重要視される傾向があったようです。
これは、当時のクルマ、オーディオなどにも通じるかもしれませんね。
そんな時代背景も踏まえて古いレンズを使用してみると各レンズごとに「クセ」があり、いろいろ試してみるのが楽しくなってきます。
古いレンズを試してみる場合に注意することはまず操作がすべて「手動」になることです。
ピントも露出もすべて撮影者が決定します。また、反射防止のためのコーティング技術も現代とは差があります。
実際に使用される場合は逆光には十分注意し、可能であればレンズフードを用意しましょう。

デジタル一眼時代の現代では各社のカメラにはレンズセットが用意されていますがすべてズームレンズとセットになっています。
最初の一本には良いでしょうが、現在、デジタル一眼の標準ズームをお使いの方は次のレンズは是非、明るい単焦点レンズをご検討ください。
画角と被写体との距離感を養うにはズームより優れていると思います。

ちなみにAPS-Cサイズのカメラでは35mmクラス、フォーサーズでは25mmクラスがフィルムカメラでの50mmの画角に相当します。
また、マウントアダプターは各種カメラ/レンズ用が数多く販売されていますので、眠っているレンズを使用してみたい方はいろいろ検索してみると様々な組み合わせがありますので試してみるのも楽しいと思います。
ただし、カメラメーカー、レンズメーカーの保証対象外の使用方法となりますから全て自己責任となりますので、ご理解のうえ、お楽しみ下さいね。

以上、elmarがお送りしました。