α1が発表されて高画素・高感度・高速AFを羨ましいと思いつつ価格で手も足も出ないGAhackです。
そんなGAhackも気がつくと愛機のスペックも上がりα9とFE 24-70mm F2.8 GMで撮影を楽しんでいます。
しかし、最近はレンズの重さに負けて値下げされたDistagon T* FE 35mm F1.4 ZAが欲しいなと思う今日この頃です。
当然、そんな予算はないので、ないなら作れば良いじゃない!というわけで、レンズを自作してみました。

レンズを作るといっても、ガラスを研磨して光学的に計算をして筒に設置して・・・と言ったことはできるはずもありません。
今回作るのはカメラの原型となったピンホールレンズです。
ピンホールとは針で刺して開けた穴という意味あいで、文字通り針の穴を通して入ってきた光で画像を作成します。
子供の頃に押し入れに入り内側から襖に穴を開けた事がある方が居ませんか?
その時、押し入れの壁に外の風景が天地逆転して映し出されたのをみた事がある人も居るはずです。
その後はセットで星を見た可能性もありますが・・・。

今回作成するにあたって用意したのがコチラのボディキャップです。

純正を用意しようと思ったのですが、ここでも貧乏性が発動し少しでも安い互換品をポチッていました。

今回はドリルで穴あけ作業を行うので、怪我等には充分注意してください。

用意したのはボディキャップ、電動ドリル、まち針、アルミホイル、セロテープ、黒の油性ペンの以上です。
電動ドリルはピンバイスなどでもよく、そこそこの穴が開けられればOKです。

はじめにボディキャップに穴を開けていきます。

この時中心を取れるのであれば、取ったほうがいいですが、だいたい中心で大丈夫です。
ざっくりと中心を決めて穴を開けます。

こんな感じで穴が空きました。

次にアルミホイルを適当な大きさに切り出します。

油性ペンで真ん中あたりに黒丸を書いておきます。
そして、まち針を持って中心くらいにプスッと刺して軽くクルッと回すくらいで小さな穴を開けます。

最後に加工してできたアルミホイルを先ほど穴を開けたボディキャップに取り付けます。

この時、キャップの穴の中心付近に針で開けた穴を持ってくるようにしましょう。
画像では黒色に塗られていませんが、黒色がセンサー側になるように設置します。

この状態で撮影した画像こちら。

・・・えぇ盛大にケラレが発生しています。
おそらく穴が小さすぎるか、フランジバック(レンズの後ろ玉からセンサーまでの距離)が近すぎるのが原因だと思われます。

試しに穴を開けたアルミホイルを外側に貼り付けたところケラレが解消され、全体的にピントの合わない写真が撮れました。
これからわかるのはフランジバックの問題のようです。

今回購入したボディキャップ(左)と純正のボディキャップ(右)を並べてみると、若干ですが厚みが違うようです。

この厚みが原因のようで、外側にピンホールを持って行ったところケラレが無くなったことから考えるに少しだけ外側にピンホールを動かせば良いということです。

そこで、適当にデザインナイフで削ってみました。

その辺に転がっていたピンセットのキャップがちょうど良さそうだったので、アルミホイルを穴に押し込む道具としています。

このままテープで固定したのち、ピンセットのキャップで穴を押した状態で反対側からまち針で穴を開けてみました。

カメラに取り付けて撮影した画像がコチラ。

無事ケラレは解消されました。
多少ピントが甘いですが、ピンホールレンズなので概ね正常の範囲内でしょう。

このままでも撮影はできますが、最後に少しだけ画質をあげる工夫を行っておきましょう。

先ほど止めたテープとアルミホイルの黒く塗っていない部分で光が反射してしまうので、油性マジックで真っ黒に塗っておきます。

以上でピンホールレンズが完成しました。

このままでは持ち運び時、センサーに光が常に当たる状況ってしまうのでマスキングテープでレンズキャップとしておきます。

おそらくα9で使える最軽量のフルサイズ対応レンズだと思われます。
FE 24-70mm F2.8 GMの重量886gから12gへダイエット成功です!!

折角軽くなったので撮影をしてみました。
ピンホールカメラだと露光時間を長くする必要があるのですが、ボディをデジタル化することでISO感度を上げる事で短くすることができます。
昔はISO3200以上は使い物にならないと言われていましたが、最近のカメラはISO 1万くらいまであげても破綻することが少なくなっています。
今回のピンホールレンズであれば解像度がそもそも高くないので古めのカメラでISO感度を思いっきり上げ、ザラついた写真を楽しむのも良いかもしれません。


手始めに家の中で愛猫を撮影してみました。
暗がりで撮影したためISO感度を64000まであげています。
ザラつきはすごいですが、撮影はできていますね。


高いレンズではないので猫パンチをくらってもノーダメージです。


外で太陽光があり光をしっかりと確保できる状況であればISO3200くらいでシャッタースピードは1/20前後で撮影ができました。
文字だってしっかりと読めます。


ISO感度を12800-25600付近まで上げることでシャッタースピードを稼ぐことができ動体物でも撮影ができるようになります。
1/200くらいでの撮影が可能でした。


逆光耐性は当然無いので極力順光で撮影を行った方が良いでしょう。


絞りがおそらくF100くらいになっているはずなので、青空の撮影をするとセンサーのゴミの写り込みが顕著になります。
(帰宅後丁寧にセンサー清掃をしました)

実質カメラの重量だけになったので片手でサクサクと気軽にシャッターを切ることができ、スマホで撮るように手軽に撮影ができました。
何よりズームもフォーカスも気にしなくて良いので構図だけに集中できるのは新鮮に感じましたね。
やはり単焦点を新しく手に入れるべきか・・・。

写真を見てもらうと分かる通り、究極レンズは光の通る道でしかなく、センサーに像を結ぶことができれば今回のように穴だけでも撮影できてしまいます。
しかも、今回に至ってはフランジバックも厳密に測っておらず、それっぽい位置に穴を作って撮影しています。
それでもなんとなく味のある写真が出来上がりました。
ボディを買うと高いレンズが必須と思われがちですが、今回のように500円未満のレンズもどきを使っても撮影できてしまいます。
ひとまず適当なボディとレンズを購入して、色々と撮影したのち自分にあったレンズを追加してみましょう。

新品では高いカメラも中古カメラであれば結構安価に購入できます。
ぜひ、じゃんぱらで初めてのカメラを手に入れてみてください。

じゃんぱらでカメラを探してみる

ちなみに、マイクロフォーサーズ機をお持ちの方は加工をせずに同様の事を楽しめるレンズがあります。
その名もOLYMPUS 15mm F8(ボディーキャップレンズ)です。
このレンズの写りも中々面白いので興味の湧いた方はぜひ1つ入手してみてください。