このごろは涼しくなりました。
体調を崩しやすい時期ですのでご注意くださいね。
お久しぶりです、elmarです。
前回の記事でも書きました、RICOH GXR A12 MOUNT
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ですが、9月9日の発売後、品薄状態が続いているようです。

普通に購入できるかなと踏んでいたので、予約などはしなかったのですが
しばらくはどこのお店でも入荷がない状態が続いていました。
これに呼応するかの様にじゃんぱらでのGXRのボディやレンズキットも
次々に売れていってしまいました。
みなさま、同じ事を考えていらっしゃるようです。
じゃんぱらでは鋭意買い取り中ですので、ご不要、予約ダブり品などがございましたら買取のご利用お待ち申し上げております。
GXR系の買取価格はこちらをご覧下さい。

とはいえ、こんな状態では記事が作れません。困ったなーっと思っていた10月初旬、メーカーから出荷があったようで家電量販店で在庫を問い合わせると「ある」との事。
いろいろと出費が重なったり、給料が下がったりして手持ちのお金も少なかったのですが読者の皆様のため「いつ買うんですか。今でしょう」と無理矢理、納得させ購入しました。

いや、実は欲しいだけなのですが・・・。
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そんなわけで、めでたくGXRにライカMマウントレンズが装着可能となりました。
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装着するとこんな感じ。
ちょっと、厚ぼったくなりますね。
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S10(24-72mmVC)ユニットと比べると、やはりでっぱりがあります。

GXRのほかのカメラユニットはすべてレンズ内にレンズシャッターを内蔵しています。
このGXR A12 MOUNTの面白いところは既存のレンズを使用するためユニットにフォーカルプレーンシャッターユニットが組み込まれている事です。

一眼カメラに採用されているタイプですね。
フォーカル=焦点
プレーン=面
フィルム面/CCD/COMSの直前に配置されたシャッターという事ですね。

ライカMマウントは以前もお話したとおり1950年代に開発されたマウントです。
一眼レフではありませんから可動ミラーがなくレンズマウントからフィルム(撮像素子)までの距離(フランジバック)が短いのが特徴です。
また広角レンズで背面に突出したレンズ構成の設計が可能で高性能、高画質がねらえます。
現代のレンズ設計技術ではこういった構成でなくても高性能な製品は可能ですが、前玉が大きくなり、レンズ自体が大きく重くなってしまう傾向があります。

例えばNikon F用に日本光学(現Nikon)が21mm超広角レンズを用意した際は一眼レフのミラーをはね上げて(ミラーアップ)装着し、別途ファインダーを取付けて撮影する形式でした。
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(↑クリックでNikonサイトへ)

レンジファインダーカメラ Nikon S用のレンズを流用した事もありますが当時の技術では一眼レフ用の設計は難しかったのかもしれません。

ライカM3に始まるM型ライカ用のレンズも同様に長い間、マウント後部に出っ張った形式のものが主流でしたがカメラに露主計を内蔵するようになったため次第にいわゆるレトロフォーカスタイプのものが多くなっていきました。

さて、RICOH GXR A12 MOUNTには一部の特殊なものを除いてほとんどの広角レンズが使えます。

レンズによって出っ張る大きさが異なりますので取付けの可否を確認するための「チェッカー」が付属しています。
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これはレンズ後部の出っ張りがカメラ内部に干渉しないかを確認するためのもので簡単な事ですが、とても役に立ちます。
賛辞を送るべき商品企画だとelmarは信じます。

ライカMマウントはアダプターにより、それ以前のネジマウント(Lマウント)レンズを使用する
ことも可能なため、長い年月の間に世界中で互換レンズが作られてきました。

このレンズもそんな他国で製造されたものの一つです。
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RUSSAR MP-2 20mm F5.6
ソビエト時代の製造です。戦後、ドイツの優れた光学技術を技術者、工場まるごと接収したソビエトは在庫部品をつかってCONTAXのデッドコピー(というか中身はそのまま)製造し始めます。
このとき、当然のように世界最高の光学をもっていたツァイスの技術や設計を受け継いで行ったようです。当時のロシアレンズにはツァイスに範をとったものが多いのですがこのRUSSARは戦前の製品には同種の製品はなく謎の多いレンズではあります。

対抗して西側の正義のために西のツァイスが再生されるなどしますがこの時代に最初の量産型一眼レフ(CONTAX D)が開発されましたがやはり、一般には受け入れられず、低コストで改良を重ねた日本メーカーに駆逐されていくのは皆さんご存知の通り。
今は日本が追われる立場ですから、二の舞は避けたいところですが・・・。

脱線しました・・・。

えっと、RUSSARのテスト撮影をします。
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このレンズはご覧のようにカメラに取付けるとパンケーキレンズのように平たくなり携帯に便利です。
この個体はソビエト連邦末期に再生産されたらしく、かなり安っぽい造りです。
オリジナルの筐体はもう少ししっかりしていて立派なファインダーが付属します。
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マウントはネジマウント(Lマウント)ですのでL-Mマウントアダプタを使用。
絞りはレンズ前面から調整しますがこの思想は戦前のツァイスと同じ造りですね。

RUSSARは有名なライカ用の「スーパー・アンギュロン21mmF4」と比べて明るさは落ちますが安価でそれなりに写りますので「プアマンズ・アンギュロン」などと呼ばれたりします。

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取付けるとこんな感じ。

GXR A12 MOUNTはAPS-Cセンサーを搭載していますので20mmレンズの場合は30mm程度の画角となります。
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という事でロシア製ターレットファインダーの35mmを使用してみても面白いです。
当然の事ながらピントは手動で合わせなければならないので合わせやすくするために「フォーカスアシスト」機能がいくつか搭載されています。
・液晶画面の一部を拡大する機能
・コントラストを高めてピーキングする機能が2種類
カメラの撮影モードは各種使えますがSモード(シャッター速度優先)はマニュアル露出になります。Mマウントは絞り連動機能が内蔵されていませんので、注意が必要です。
それでは早速、テスト撮影です
RUSSAR MP-2 20mm F5.6を使用しました。
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新宿付近のビル。見上げる構図で上すぼまりになりますが線は見事に一直線です。ズームレンズや一般的な一眼レフ用広角レンズでは歪みが目立ちやすいのですがこのレンズはそつなくまとめます。
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ビルの通風口なのかな。面白い並び方なので撮影してみました。
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上と同じ所を「ハイコントラスト白黒」モードで撮影。印象がとても強くなります。
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こちらは東京立川市の「昭和記念公園」で撮影しました。四季折々の植物が楽しめます、
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白黒(ブルーフィルター)で撮影。ところどころに休憩所があるのですがなぜか風情があります。
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秋桜のシーズンです。首都圏を直撃した台風の影響で今年は控えめだそうです。
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「コスモスの丘」はまだ7割くらいの開花のようでした。
レンズ交換します。

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一般的な距離計連動式カメラ用交換レンズは70cmから1mくらいが最短撮影距離ですがこのDR-SUMMICRON 50mmF2は45cmまで近接可能です。
一眼レフと違い撮影レンズとファインダーの位置が異なりますので視差(パララックス)が発生します。
これを矯正するための器具がセットになっていてこれは俗に「眼鏡」と言われています。
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この「眼鏡」を取付けた状態で初めて近接可能になるように設計されていますが「なぜ、そこまでする」と感じるほど凝った造りのレンズです。
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DR-SUMMICRON 50mm F2にて最短撮影距離付近で撮影しました。LeicaM8/M9シリーズでは使用できないレンズなのですがGXRでは生かせます。
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こちらも上記レンズを使用。背景のボケが美しいです。
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焦点距離のレンズ。実際にライカで使うといろいろと制約があったりして使いにくいのですが液晶画面またはオプションの液晶ビューファインダー VF-2を利用すればさらに使いやすくなりそうです。
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長焦点レンズだけあって背景のボケは大きくなりますね。
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レンズはSUMMICRON 90mm F2を使用しました。シャープネスもありトーンもしっかりしていますが大きく、重いです。
後期型になると小型、軽量化が進み使いやすくなっています。
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近くの公園にいたネコを思わず撮影。
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ご注意なのですが、このA12 MOUNTは電源が入っているとシャッターが開いた状態になっていますのでレンズ交換時は電源をoffにしてシャッターを下ろした状態で交換する事をオススメします。
このカメラユニットにはゴミ除去機能がありませんのでゴミが映り込みやすいです。

さて、いろいろなレンズで試してみましたがいかがだったでしょうか。
クラシックなレンズ達はコンピューター設計もなく設計も計算尺や手回し計算機の時代。製造も手作業が多く現代のレンズでは考えられないほどの手間ひまがかかっています。
GXRボディとGXR MOUNT A12で結構な金額になりますがカメラ自体が非常に多機能である事もありライカMマウントのレンズをお持ちの方はぜひお試しいただきたいカメラです。
elmarもとことん、遊んでみたいと思っています。

追伸

10月5日に惜しまれつつ、この世を去ったAppleのSteve Jobs会長に心よりの哀悼の念を捧げます。
長年のAppleユーザーである私は常にハングリーで、愚かであろうと努めてきました。
どうぞ、安らかにお眠り下さい。本当にありがとう・・・。
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