大変な時期が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
被災された地域の一日も早い復興をお祈り致します。

おひさしぶりです、elmarです。
突然ですがこのようなカメラが入荷しました!
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Leica M8 ブラック/Leica X1ブラック

「ちびまる子ちゃん」にもよく登場する「ライカ」のデジタル版で
ドイツ製のレンジファインダーデジタルカメラです。
この『レンジファインダー』とは「連動距離計」を指しています。
35mmフィルムカメラが発明された1920年代はカメラといえば大判カメラが主流で、
大きく重いものばかりでした。

現在でも愛好家は数多くいらっしゃいますし大判でなければ撮れない世界もありますのでリンクを貼っておきます。
<リンホフ>

大判カメラの撮影までの手順はこんな感じです。

1.三脚に据えたカメラに暗幕(冠布)をかける

2.スリガラスをはめ、ピント、絞り、構図を決める

3.レンズキャップをはめる(またはシャッターチャージ)

4.スリガラスをを外し乾板(またはシートフィルム)を取り付ける

5.遮光板を外す。

6.レンズキャップの着脱(またはシャッター)で露光

7.遮光板を入れ乾板(シートフィルム)を外す

8.現像・定着

9.密着焼き付け

このように撮影するのにも非常に手間がかかりますし、重量も重いものでした。

ライカとは顕微鏡などを製造するElnst.Leitz社の技師オスカー・バルナック
が考案しました。
彼は写真を撮るのが趣味だったのですが、病弱で当時の大型カメラは文字通り
荷が重かったようです。
1914年頃、映画用の135フィルムの2コマ分を使い24x36mmの
横長画面を撮影するようにしたカメラを考案し試作します。

※当時の試作品が先頃オークションに出品されとんでもない価格(約1億5千万円!)で落札されました。

なかなか日の目を見なかったこのカメラは経営者の交代もあり開発が再開され
遂に1925年、「ライカI型」(またはA型)として市販されます。
LeitzのCameraなので「Leica」という名称にしたそうです。
このカメラは瞬く間にヒット商品となり35mmフィルムが小型カメラの主流
になっていきます。
この事から24x36mmの35mmフィルムは「ライカ判」と呼ばれ、親しまれました。
35mmフィルムはネガサイズが小さいため「引き伸ばし」をする事が前提なので
引き伸ばし機やプロジェクターも用意され、のちのシステムカメラの先駆となりました。

さて、その総金属製のボディは当時の一般的なカメラより圧倒的に小型で巻き上げるとシャッターがチャージされすぐに撮影ができる事が特徴でした。
当初はレンズも50mmの固定式でしたが後にレンズ交換が可能となります。
ピント合わせも目測あるいはオプションの「距離計」で計測した数値にレンズを設定する方式でした。
この「距離計」をカメラに内蔵させ、レンズのピント合わせと連動させたものが「連動距離計」と呼ばれます。
1932年、ライカII型(日本ではDII)より採用されます。
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Leica DII/elmar 5cm F3.5

オートフォーカスがあたりまえの現代では考えられせんが当時の広告では
「自動焦点」と記載しているものもありました。
その後、様々な改良が施されて世界各国で支持されていくわけですが
「第二次世界大戦」により一時、生産が激減。
当時の小型カメラは貴重な軍需物資でもあり敵味方双方ともにライカやContaxを使う時代でもありました。
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Contax IIa/Sonnar 5cmF2

戦後、ライバルであった「Contax」を生産する「ツァイス・イコン」は設備をソ連に接収され東西ドイツの分裂とともに
分断される悲劇に見舞われます。
ライツ社は幸いな事に西側統治の地域にあったため、戦後は早期に再稼動できました。
戦前のカメラの改良型IIfやIIIfなど傑作を生み出し続けます。
そして1952年、「ライカM3」がフォトキナで電撃的なデビューを飾ります。
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Leica M3/Summicron 50mm F2(NF)

従来のカメラの欠点を補い、さらに工作精度、光学性能を高めたレンズ群ともにカメラ界に君臨します。
バヨネットマウント、布幕横走りの静粛なシャッター、精緻で長い基線長を持つ等倍ファインダーによるピント精度など機械工作、光学工作の頂点とも言われるカメラでした。
とはいえ当初はボディが従来のライカよりも大形化したため、古くからのライカユーザーからは不評で従来のIIIfの改良型IIIgを開発、発売する事になりました。
広い分類でこのgシリーズまでを「バルナックライカ」、M3以後を「M型ライカ」と呼びます。
バルナックライカはネジマウント(L39)で交換に手間がかかるのですがM型ライカはバヨネットマウント(Mマウント)となり交換が容易になりました。
ファインダーはバルナックライカが二眼式でピント合わせ用と構図用のファインダーが別なのに対し、M3は一眼式となり、飛躍的に使いやすくなりました。

戦後の混乱期から立ち直りつつあった日本のカメラメーカーはこのM3に追いつくべく様々な挑戦を繰り返しますが、旭光学(現HOYA/PENTAX)が発売した
「一眼レフ」に活路を見いだしていきます。
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AsahiFlex

それまで「一眼レフ」は接写や望遠撮影に適した特殊カメラといった位置づけでしたが、シャッターを切ったあとすぐにミラーが復元する「クイックリターンミラー」が実用化された事により一気に普及していきます。
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PENTAX SP

こうして、レンジファインダーカメラでは一人勝ちとなったライカはその後も正常進化を続けていきますが
人件費の高騰、安価な日本製一眼レフの隆盛により市場を奪われていきます。
遅ればせながら一眼レフも開発しますが発売された「LeicaFlex」は同時期の日本製一眼レフよりは技術的には2世代は遅れていました。
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LeicaFlexSL MOT

そんななか1972年には日本のミノルタ(現コニカミノルタ)と技術提携を行いコンパクトレンジファインダーカメラや一眼レフの生産を行い挽回を図りますが経営難から立ち直れず倒産となります。
カメラ部門はライカカメラ社として独立しゆっくりしたスパンで製品を供給しながら現在にいたります。

M8は2006年に発表され、従来のレンズと互換性(いくつか例外あり)を保ちながらもデジタル化を果たし、ライカマニアだけにとどまらず幅広い層に受け入れられました。
18x24mmサイズのKODAK製1080万画素CCDを搭載、ローパスフィルターを排した構造で一般的な一眼レフとは一線を画す高画質を実現しました。
その後、改良モデルのM8.2が発表されます。M8は1/8000秒シャッターを搭載していましたがM8.2は静音性を重視し1/4000秒に落とし、液晶カバーをサファイアガラスとして、傷つきにくい構造になりました。

ライカは昔から旧モデルからのバージョンアップを受け付けていて、たとえばI型に距離計を搭載してII型にするなどという事を行っていました。
elmar所有のDIIは製造番号からみるとI型だったようです。(もちろん80年近く前なので詳細は不明です)
M8もユーザーの希望によりM8.2相当に改造を受け付けていました。
(ただし、かなりの金額がかかるのはご覚悟ください)

そして2009年、ついに24x36mmの「ライカ判」1800万画素フルサイズCCDセンサーを搭載したM9が発売されました。M3に始まる「M型ライカ」もここに至ってついにフルサイズデジタルとなり、さらに高画質が必要なプロ向けに「Leica S2」も2009年に発売されています。

今回、M型デジタルライカが2機種、用意できましたので比較してみました。
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外形寸法はほぼ同じです。
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M型ライカの伝統にならったのかSDカードスロットは底蓋を外したところにあります。
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レンズの前後動をボディに伝える「コロ」。焦点合わせをするとこの「コロ」を介してボディ内の距離計を動かし二重像合致を行います。
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カメラのなかのカメラ、銘機「M3」との比較。
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撮像素子、背面液晶のスペース確保のため、フィルムライカと比較すると厚みがあります。

現代においてライカを使うのはなぜなのでしょうか。
ライブビュー撮影もできませんし、オートフォーカスでもありません。絞り優先撮影は可能ですがシャッター優先撮影はできません。
一眼レフではないのでボケの確認もできませんし、ピント合わせも画面中央でしかできません。
ないものづくしではありますが、乱暴にいえば写真を撮るにはこれで充分です。

「ピントを合わせる」
「露出を決める」
「構図を考える」

写真の基本に立ち返る事が出来るのではないでしょうか。
クルマならマニュアルトランスミッション、オーディオならアナログディスク、時計なら自動巻きにこだわるようなものかもしれません。
一眼レフ形式ではないので特に広角レンズの設計が有利になりより高画質が狙えます。
また、過去の名レンズ群がほとんど使えるのも嬉しいところです。

それでは早速、撮影してみましょう。

レンズはelmar所有のもので最新型ではなく1950~1970年頃のものがほとんどです。
モダンなレンズも使った事が無いわけではないのですが、やはり黄金期の製品の造りの良さは素晴らしいです。
クルマや印刷機械などもそう感じるのですがドイツ製の機械のオーバークウォリティには脱帽ものです。
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M8にて撮影。レンズはズマロン35mmを使用して同じ場所から撮影してみました。
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M9にて撮影。あたりまえですが画角が広く、広角レンズが使いやすいです。
※すいません、ちょっとアングルがずれましたm(_ _)m
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M8で撮影。レンズはズマロン M 35mmF3.5
新宿2号店付近から東京都庁を臨みます。
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M9で撮影。レンズはエルマー L 35mmF3.5
渋谷駅付近。明暗差が結構ある状況ですが古いレンズの割にしっかりとした描写です。
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M9で撮影。レンズはズミクロン M 90mmF2
銀座のショーウィンドウのマネキン。M型ライカは光学ファインダーの倍率が一定ですので望遠レンズは視野内に枠(ブライトフレーム)が現れます。慣れないとちょっと難しいです。
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M9で撮影。レンズはエルマー L 35mmF3.5
渋谷の宮下公園わきで撮影。ここには複雑な事情があります・・・。
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M9で撮影。レンズはエルマー L 35mmF3.5
街路樹からの木漏れ日が眩しい日でした。

ライカはコンパクトデジタルカメラも製造しています。
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Panasonicのものがベースの機種がほとんどですが、この「Leica X1」はかなり意欲的な製品です。
APS-CサイズCMOSセンサー、24mmF2.8レンズ搭載。フィルムの時代にあった「ミニルックス」を彷彿とさせます。
とにかく画質は一級品ですので以下の作例をご覧下さい。
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X1 ブラック F5.6
ビル群の直線と空と雲の対比がいい感じです。
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X1 ブラック F5.0
画面右はガラス張りのビルです。映り込みを自然に描き出します。
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X1 ブラック F8.0
最短撮影距離付近で撮影。絞り込んで被写界深度を深めています。

ライカのカメラは入荷少ないのですがじゃんぱらではもちろん買取、販売を承っております。
フィルムカメラ、M8、M8.2、M9に関しては じゃんぱら新宿2号店 で対応させていただきます。
X1、その他のコンパクトデジカメに関してはじゃんぱら全店で買取可能です。
買取価格はこちらからご覧ください。

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現在の在庫はこちらからご覧いただけます。

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こと、ライカのことになると書きたくなる事がたくさんありすぎて収拾がつかなくなりますので今回はこの辺りで失礼致します。

それではまたお会いしましょう!