4月に入り東京の桜は満開を過ぎました。
寒の戻りのおかげか例年より長い期間、桜が楽しめましたね。
そして新元号は「令和」と発表になりました。
去りゆく「平成」とまた少し遠くなった「昭和」を思い浮かべながら今回の記事を書いているelmarです。
花粉症とは無縁の生活を送っていましたが今年から発現したらしく眼がかゆいです。
しかたがないので新しいカメラを買いました(意味不明ですが。。。)
昨年、フルサイズミラーレス機がNikonZ7、Z6に続きCanonからも【EOS R】が発売されて久しいですが今までは導入してきませんでした。
このフルサイズミラーレスという分野に先鞭をつけたSONY α7シリーズを初代α7Rから運用していますからシステム替えする必要はないかなと考えていたのです。
しかし!
Canonからの2機種目【Canon EOS RP】が発表されたとき「RPのPはCanon P型(ポピュレール)からとりました」という報道を見てグラっと来てしまったわけです。
Canon P型
この機種は1959年(昭和34年)にCanonから発売されたレンジファインダーカメラで高級機でありながら廉価である事をセールスポイントにしていました。
ちなみに発売当時の定価が 52,700円(50mm F1.4付き) ですが当時の会社員の月給が17,354円、大卒初任給が10,200円くらいという時代背景からみるといかにカメラが高級品だったかわかります。
Canon P型はファインダー構造を上位機種のCanon VT型と比べ簡素化してコストを下げたカメラで大ヒット商品だったようです。
今回の【EOS RP】はこの【Canon P型】にちなんだ機種名という事からすでに重責を担っている気がします。
ちょっと脱線しましたが【EOS RP】の開封を行います。
購入したのは【EOS RP マウントアダプターキット ブラック】というキットで同梱されるマウントアダプターは【コントロールリングマウントアダプター EF-EOS R】です。
箱でかっ!!
どうやら各キット向けの箱は共通のようでボディ+マウントアダプターの場合はかなりの空間があります。
ボディの箱が見えます。
ボディの箱を取り出した状態。
箱が大きいのは豪華に見えていいのですが保管に困りますね。(elmarは元箱とっておくタイプ)
外箱から取り出したボディとマウントアダプター。
ボディの箱を開けると中身はこんな感じで付属品も少なくシンプルです。
・カメラ本体
・バッテリーチャージャー
・バッテリー【LP-E17】
・ネックストラップ
・マニュアル
・保証書
バッテリと充電器が付属していますがケーブルは付属していません。
いよいよお目見え!【EOS RP ブラック】
ボディが小さくなった事もありキヤノン一眼レフ伝統の「サブ電子ダイヤル」は背面ではなくボディ上部にあります。
バッテリーパックは【LP-E17】が採用されています。
純正USB電源アダプター【PD-E1】を用意すればコネクタからの充電も可能です。
動画撮影を行うときや出先でバッテリ残量がなくなってきたときに重宝します。
注)後述しますが一般的なモバイルバッテリーでは充電ができませんのでご注意ください。
こちらは【コントロールリングマウントアダプター EF-EOS R】の内容。
・アダプター本体
・ポーチ
・マニュアル
・保証書
その名の通り機能を割り当てられるコントロールリングがついたマウントアダプターで現行のEFレンズ群をEOS R,RPで使用できるようになります。
コントロールリングに割り当てられる機能はシャッタースピード、絞り、ISO感度、露出補正などです。
レンズ鏡胴部についていますからelmarはすぐさま絞りコントロール(AV)に設定しました。
他の設定も撮影シーンによっては有効ですから使い方に合わせて変更しましょう。
装着するとこんな感じです。
マウントアダプター内側に内面反射抑止のために幾重にも溝が彫られていて安価なアダプターとは一線を画します。
マウント内にセンサーが見えますがここが【EOS R】と異なるところです。
【EOS R】は電源をOFFにするとシャッターが降りてセンサーへのゴミから保護してくれる構造になっています。
【EOS RP】にはこの機能がなく一般的なミラーレス機同様、レンズを外してもセンサーはむき出しです。
elmarはSONY α7、α7RIIと使っているのでそんなに気にはなりませんが気にする方は上位機種である【EOS R】を検討しましょう。
レンズ交換する場合は電源を切り、開口部を下に向けるなどホコリが入らないように気をつけて行ってください。
新マウントである【RFマウント】は大口径、ショートフランジバックがウリです。
シャッターボタンはグリップの前面側に配置されているためボディサイズの小ささの割にホールドは良いと思います。
小指がちょっと落ち着かないですが純正のグリップを装着すると重量バランスとともに改善されるでしょう。
個人的にはサードパーティー製のL型グリップ待ちです。
これはSONY α7RIIにつけたL型グリップで底部とサイド部にはアルカスイス互換形状になっていて対応する雲台を使用すればワンタッチで縦横変換が可能なので三脚使用時に便利なのです。
ユーザーインターフェースは最近のキヤノンミラーレス機、特にEOS KissMに近いようです。
モードダイヤルの右にあるのがサブ電子ダイヤルで不用意な作動を防ぐためにロック機構がついています。
これも従来の一眼レフカメラ同様ですね。
電源スイッチはボディ左側にありローレット加工されていますので手触りでON、OFF切り替えができそうです。
ストロボは内蔵されていませんがCanon純正ストロボや互換ストロボが装着可能です。
バリアングル液晶はタッチフォーカス、タッチシャッター対応でローアングル、ハイアングル撮影も行いやすくできています。
上面からみてサブ電子ダイヤルとメイン電子ダイヤルの中間あたりに動画用の録画ボタンがあります。
グリップしたまま操作できますし一段低くなっていますから暗くても使いやすそうです。
それでは実際に撮影した写真をご覧ください。
フルサイズミラーレス用RFマウントレンズまでは予算の都合で用意できませんでしたが手持ちのEFレンズを試してみます。
【Canon EFレンズ】
・Canon EF 50mm F1.8 II
1990年発売の標準レンズ。
低価格ですが軽量なため単焦点入門用として特におすすめ。
超音波モーター方式ではないのでAFの駆動音、振動が大きく動画撮影は苦手ですが静止画ならまだまだ活躍できそうです。
満開を迎えた桜を見上げての一枚。
露出補正を+2/3段行って背景を飛ばし気味にしています。
工事中の地下鉄ホームに電車が入線する瞬間を狙ってみました。
シミが人影に見えるのは気のせいです、きっと。
・Canon EF 100mm F2.8 USM マクロ
定番のマクロレンズです。
被写体までの距離を稼ぎながらクローズアップ撮影が可能。
いつものように神田川の桜です。
背景との距離をよく見て手前の花から狙っています。
夜桜撮影にマクロレンズでチャレンジ。ISOオートで撮影しています。
暗所でのピント合わせは少し迷いますがピント位置制限を切り替えるとスピーディーに合わせられます。
・Canon EF 20-35mm F3.5-4.5 USM
1994年発売の純正広角ズームレンズ。
現代のレンズと比べると歪曲収差は多めかもしれませんがサイズの割に比較的軽量である事が魅力です。
昭和8年(1933年)に建てられ、現在は東京都文化デザイン事業により保存建築物に指定されているそうです。
空の青さと建物のコントラストを演出するためにマイナスの露出補正をしています。
おそらく東京都内で最も低い天井高1.5mのガード「高輪橋架道橋」です。
トンネルではなくガードで天井の上はJRの線路が走っています。
新駅(高輪ゲートウェイ)建設に伴いなくなるかもしれませんので撮影しましたが身長170cmのelmarはかなり首を曲げないと通れません。
天井にはタクシーのライトや2輪車の方のヘルメットが当たってできた傷が無数にあります。
これも昭和の遺構のひとつでしょう。
水元公園で撮影した夜桜。ライトアップされているわけではないですが街灯が桜に当たり浮き立たせてくれています。
・SIGMA 70mm F2.8 DG Macro Art (Canon EF)
「カミソリマクロ」のと呼ばれた先代からリファインされたSIGMAのマクロレンズ。
マウントはCanon以前はSIGMA MC-11マウントコンバーターを介してSONY Eマウントで撮影していました。
手前の桜にピントを合わせて飛行機雲を際立たせる構図にしています。
絞りはF16に設定し被写界深度が深くなるようにしています。
絞りすぎると回析現象により画質の低下が起きる場合がありますのでF22から少し戻しています。
白い壁から出ているダクトと強い影、縦線を意識して撮影。
こういった無機質なものでも平坦な描写にならないのはさすがに「カミソリマクロ」の面目躍如です。
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RFマウントのカメラを導入するにあたり、サードパーティ製のマウントアダプターでぜひとも購入したいものがありました。
それはAF(オートフォーカス)が生まれる前にCanonが展開していたフィルム一眼レフ用のFDマウントをRFマウントに変換するマウントアダプターです。
FDマウントは【F-1】やその後継機種【New F-1】をフラッグシップ機として今となっては当たり前ですが当時は珍しかったAV(絞り優先)、TV(シャッター優先)両AE対応の高性能機【A-1】、プログラムAEを初めて導入した【AE-1 Program】そしてAF以外の機能はEOSを凌ぐといわれた【T90】など名機が多数ありました。
elmarはまさにその時代にカメラを始めたもので【New F-1】、【T90】といった機種とFDレンズ十数本をメインに使っていました。
CanonはEOSシステム導入にあたりこのFDレンズシステムをやめ、EFマウントへ移行する事を決断しました。
今考えればまさに英断であったのですが、若かったelmarは裏切られたような気持になりすべて売却してしまいます。
それから20年ほど経ち、その頃に好きだったレンズを買い直しているのは
「認めたくないものだな。自分の若さ故の~」
まさにそういったセリフを地でやってしまったようなものです。
というわけでFD-RFマウントアダプタを用意しました。
<SHOTEN FD-RF>
焦点工房製のマウントアダプタで内部構造が「割と」しっかりしているので選びました。
一眼レフ用のレンズをミラーレス機で使うとアダプター内部での内面反射などで画質が落ちたりゴーストやフレアが出る事があります。
以前の記事でも触れたようにマウントアダプター内部の造りも描写に影響しますので反射防止塗装がされているか、遮光板や反射防止加工が設置されているかがポイントですね。
【Canon FD レンズ】
・Canon FD 55mm F1.2 1971年発売
レンズ前面のフィルター枠がメッキ仕上げのいわゆる「銀枠」モデルです。
55mmF1.2はこのモデル以降、コーティングの変更、Lレンズモデルなどが追加されました。
モデルは1976年ごろの旧車ホンダ CB50JX。
昔のキヤノンレンズは赤系の発色が個人的には好みです。
二本榎出張所に展示されている日産製消防車。
ピントはヘッドライト部に合わせ開放絞り付近を使用する事で収差や荒れを残しています。
オールドレンズを使用する楽しさはここにあって一本のレンズでも絞り設定で描写がガラッと変わります。
一つ前の写真ではちょっと柔らかくハイライトも飛びがちでしたがこのカットでは絞りこむ事により全体にピントが合うだけでなく中央付近の解像度も向上しています。
・Canon New FD 24mm F2.8 1979年発売
24mmは個人的に街を撮るには最適の焦点距離なんじゃないかと思ってます。
当時のCanonの24mmはこのF2.8のほかにF2、そしてLレンズのF1.4があり力を入れていた焦点距離だったのではないでしょうか。
24mmはパースペクティブのつきかたが20mmクラスほど強くないので常用レンズとしてもオススメです。
人懐っこいねこに巡り合うのもスナップ撮影時にほっこりする瞬間。
こういったローアングルでの撮影ではバリアングル液晶がとても便利。
広角レンズはこのように背景を多く写し込みながらボカす事ができます。
広角レンズの遠近感の誇張と広い画角を生かして道路標識や信号の直線を組み合わせて画面構成してみました。
2020年のオリンピックに向けて東京ではあちこちで再開発が進み工事している場面に遭遇します。
古い建物から新しい東京が生まれてくるようです。
EF20-35mmでも撮影した水元公園の夜桜です。ISO AUTOに設定すると自動で感度設定が行われます。
ISO 12800という超高感度ですがノイズで見づらくなることもなく撮影ができます。
レンズ交換を嬉々としながら撮影を続けているとイヤな表示が・・・
バッテリーがなくなりました
メーカーサイトによると撮影可能枚数は「フル充電のバッテリーパックLP-E17で約250枚(常温)」となっていますので半日持ち歩いてバシバシ撮影するとすぐに300枚以上撮ってしまいます。
なに、大丈夫、モバイルバッテリーあるし、USB-Cのケーブルもあるから本体内充電しちゃおう。
カメラにケーブルを接続してモバイルバッテリーの電源をON!
あれ、モバイルバッテリーの電源ランプは一瞬つくけど、すぐに消えてしまいます。
残量はたっぷりあるにも関わらずカメラの充電が始まりません。
ちょっとネットで調べてみると標準的なUSB接続のモバイルバッテリーでは充電ができない仕様である事が判明。
メーカー公称では外部電源として【USB電源アダプター PD-E1】が推奨となっていて市販のモバイルバッテリーが使用可能とは一言も書いてありませんorz_
こういう事をCP+2019の会場で質問しておくべきでしたよね。
後悔しても仕方ないのでさらに調べると【USB電源アダプター PD-E1】はUSB PD(Power delivery-パワーデリバリー)規格に沿って作られているようです。
USB PD(Power delivery-パワーデリバリー)とは
最大100Wまで供給できる規格でPD対応のUSB-Cケーブルを必要とします。
各メーカーからバッテリーやACアダプターが発売されていますが一般的なものより高価になっています。
ア〇ゾンで探すと「Anker PowerCore 10000 PD」が最も入手しやすそうなので購入しました。※5000円を切るくらいです
早速、このモバイルバッテリーを充電してカメラに接続してみると
キター!!
充電ランプがつきました。
これで出先でも充電ができるようになりました。
新型iPadPro(2018)も充電できるようですから一台あると何かと重宝します。
USB-PDは機器と電源供給(ACアダプター、モバイルバッテリー)とケーブルが揃って初めて動作しますので付属のケーブルかUSB-PD対応のケーブルを使いましょう。
とはいえ、充電するにはどうしても時間がかかります。
今回は移動時間を挟んでいたのでその間に充電できましたがフィールドで撮影中にバッテリーがなくなったら予備バッテリーが必要になるのは明白です。
これからEOS RPを購入される方は予備バッテリーの追加購入は必須とお考えください。
EOS RPは電源OFF時にUSB-C端子から充電する事が出来ますが電源をONにして撮影しながら電源を供給する、いわゆる「USB-C給電」には対応していません。
AC駆動ならば下記の組み合わせで可能ですがこの場合はバッテリーを取り外して純然たるAC駆動となりますのでご注意ください。
純正ACアダプター【AC-E6N】+DCカプラー【DR-E18】の組み合わせならAC駆動が可能です。
※他社製アクセサリーを用いた際の動作保証はありません。なんらかの不具合、故障などが発生する可能性もあります。記事内に記載されている事は個人の実験として行っていますので万一、故障や不具合が発生しても保証いたしかねます。
elmarは一眼で撮影する際、JPEGとRAWを同時に撮影しています。
これは「保険」のようなものでホワイトバランスがイメージと違っていたり露出設定が違った場合にJPEGで調整できる範囲が狭く画質も劣化しやすいことからRAWデータも同時に撮影して万一に備えるわけです。
もちろん、完全な失敗写真を復活させる事は難しいですがよりイメージに近づける事が可能です。
4月ごろまではEOS RPのRAWデータはAdobe Lightroomで読み込みできなかったのですがアップデートにより対応されました。
本稿執筆中は未対応だったため、今回の作例はJPEG撮って出しです。
実際に撮影してしてみると失敗写真は少なくそのまま使用できました。
ここは長年のデジタル一眼レフ設計のノウハウが詰まっているところでしょう。
EOS 5Dをメイン機材で使用していた頃に戻れた気がします。
長年に渡り愛用してきた【Canon EOS 5D】+【バッテリーグリップBG-E4】と比較するといかに小さくなったかがよく分かります。
ご先祖様(?)のキヤノン P型(ポピュレール)との比較。この頃のカメラは小さいですが総金属製のため見た目よりズッシリきます。
SONY α7RIIとの大きさ比較してみるとこんな感じです。
一眼レフと比べると小さいですがフルサイズミラーレス機なら普通の大きさのように思えます。
今回、撮影に使用したレンズ群。
なお、EOS RPやレンズを撮影したカメラも【Canon Powershot SX720HS】を使用して行いました。
文中、苦言も呈しましたがすべてはキヤノン愛のため。
よりよいカメラを今後も生み出してもらいたいと願っています。
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もちろん買取も承っています!
以上、elmarがお送りしました。