果たして需要はあるのか。キーボード沼からやってきたRudraです。
本日は「USキーボードを使いたい……けど記号はJIS(日本語)キーボードの配列のまま使いたい! あれ、そうなるとアンダーバー打てなくね!?」 って人へのアンサーとなる記事です。
果たして需要はあるのか(2回目)。

前提としてVIA/QMK/VIAL などのキーアサイン変更に対応している、もしくはメーカー謹製ソフトで配列を変更できるキーボードに限ります。

ということでイクゾー!

 

前提として

そもそも前提がよくわからん人向けに一応解説です。

  • US(英語)配列のキーボードを使いたい
  • けどUSキーボードは記号の位置が使いにくい!
    • あるいは、JISキーボードも併用したい!
    • もしくは、仕事の都合などでPCの設定を変更できない、したくない!
    • または、左手キーボードを併用している都合でJISから変更できない!
    • (ノートPCのみ)本体のキーボードは印字通り動かないと困る…けど外付けでUSをつなぎたい! かつJIS配列で使いたい!
  • なので、OS(Windows)側はJIS(日本語)配列のキーボードとして認識させたい!

という人向けです。
果たして需要はあるのか(3回目)。

ちなみにRudraが正にこの上記に当てはまっており、色々やるときはJISのHHKBやMX Keys Miniを使いますが、お遊びや普段使いは大抵USキーボードを使っています。

で、USキーボードをJISとして認識させているため、USキーボード上の[P]キーの右隣の [ { と印字されたキーを押下すると、実際には [@] が入力され、USキーボード上の ‘ ” キーを押下すると、[ : ](コロン)が入力されます。

ややこしいように見えますが、要は慣れ親しんだJISキーボードの配列の位置をUSキーボード上で入力すると、そのJISキーに対応した文字が入力できるということです。

Windows上でUSキーボードをUSキーボードとして認識させた場合、USキーボードを使う分には印字と実際の入力が一致します。
しかし、MX Keys MiniやJISのHHKBの印字の [@] を入力すると、実際には [ が入力され、食い違うことになります。

JISとUSを併用している環境ですが、ノートPCやiPadのMagic TrackPadなどもJISキーですから、USに慣れると今度はノートPCなどが使いにくくなってしまいます。

というわけで、RudraはUSキーボードをJISとして使っている次第です。

ちなみにRudraの愛用キーボードについては、前回と前々回のキーボード沼の記事でめちゃくちゃ語ってますのでよろしければ。

USキーボードをJISとして使うには

まずUSキーボードをJISとして認識させる方法です。
これは至極簡単で、Windowsキーを押したら「地域と言語」と検索し、出てきた「地域の設定」を開きます。

次に、上から3段目の「日本語」の右側、「…」をクリックしてオプションを開きます。

キーボードの段にある「レイアウトを変更する」をクリックすると…

レイアウト変更のウィンドウが新規で開きます。あとは日本語/英語 を選ぶだけ。

設定変更後は再起動必須です。

 

そもそもUSキーボードをJISとして認識させるメリットとデメリット

Enterが小さいというのはデメリットでしかないですが、慣れれば全く問題なくなります。
JISより優れている点としては、括弧が横並びになること。

こんな感じ。USとJISの良いところ取りみたいな配列になります。感覚はほぼJISですが、キーだけUSという感じ。

JISは括弧が上下に並んでいますが、左右に並んでいるのは直感的にも分かりやすく、Rudra的にはかなり使いやすいと思います。まぁJISの縦並びもなんの疑問もなく使ってきたわけで、USキーボードを使い始めて初めて気づいたんですけど…。

USキーボードを使う最大のメリットは、とにかくメカニカルキーボードの種類が豊富なこと。

 

そして 「_」 と 「\」 もいなくなった 著:Rudra

上記のようにUSキーボードをJISとして認識させていると、USキーでもJISと同じ配列で入力できて非常に快適と思いきや、使っているうちにふと思い出すことがあります。

あれ、アンダーバーと「¥」キー(あとバックスラッシュ)なくね?

と気づくわけです。
USキーボードはJISに比べてキー数が少なく、BackSpace左の「¥」と、右Shiftの左隣の「¥(バックスラッシュ)+ _(アンダーバー)」のキーが存在しません。

バックスラッシュは日常ではあまり使わないかもしれませんが、アンダーバーはファイル名に日付やVer入れたりするときに使いますし、コーディング作業で頻出するので結構困ります。
一応「した」「あんだーすこあ」「あんだーばー」「えん」「ばっくすらっしゅ」「すらっしゅ」などと書いて変換するゴリ押し技もありますが、頻出すると面倒になってきます。

ちなみにRudraの場合はBackSpace左の「¥」キーは使ってないというか、JISレイアウトHHKBでさえもそのキーはDelに置き換えているので、無くても良いやと切り捨ててます。

そもそも右Shiftの左隣の「 \ _ 」キーがあれば¥も打てますので。
ということで本ブログ冒頭の問題提起に戻ってくるわけです。

これを、VIAもしくはHHKBのようにメーカーアプリでリマップできるキーボードで救済措置を講じるのが本記事の本題。

次項以降でその実際のハウトゥを書いていくのですが、結論から言うと、

  1. 割り当てたいキーにF13(もしくは不要なキー)をアサインする
  2. AutoHotKeyでF13の挙動を変更する

というやり方です。

 

キーボードの余ったキーに「F13」をキーアサインする

というわけで、お手持ちのUSキーボードもしくは自作キーボードなどをVIA/VIAL/QMKやメーカー謹製アプリなどで認識させて、この「 \ _ 」キーに割り当てる場所に「F13」をアサインしてください。

※F13ではなく、F13~F24 とか、Scroll lockやInsertなど、使わないキーならなんでもOK。

今回はNuPhy Air60 v2でアサインを試してみます。
このキーボードは前回の記事でお伝えした通り、ちょっと変則的な配列で、Z列の一番右が、左から順に「RShift」「↑」「DEL」と並んでいます。つまり、これを「・ ?」 「 \ _ 」「↑」「Shift」 とリマップすることで、JIS版HHKBの配列と完全一致します。

Rudraはこれをキーキャップとアサインを変更して、Shiftを端にリマップしています。

NuPhy Air60 v2 はVIA/QMK 対応のキーボードですので、事前にjsonを読み込んだVIAを起動して、F13をカーソルキー左上(デフォルトではRShiftの位置)に割り当てました。

こうすることでJIS版のHHKBと完全一致。

平時からHHKB StudioやNuPhy Air 60 v2を使うことが多いので、極小RShiftキーはお手の物。
本当にこのカスタムのためだけに生まれてきたキー配列といえます。最高か?

上がMX Keys Mini、下がYUNZII X71。Shiftの左隣のキーを見てもらうと、USキーはひとつキーが足りないのがわかります

普通のUSキーボードはAir60 v2のように、右Shiftと「・ ?」キーの間にバックスラッシュを入れる…(JISと同じ位置)…とは都合よくいきません。

JISと比べても遥かに機種の多いUSキーボードといえど、Zの列が14キーある(JISと同じ数)キーボードは非常に少ないです。世間的に見れば変則配列ですし。
一応Rudraが知っているものでいくつか上げてみます。なお右端にPageUpとかHomeとかがくっついてるのは省きます。右端に1列増やしたやつを使うと気が狂いそうになるんで。

  • NuPhy Air 60 v2(初代も同じ配列だがVIA非対応)
  • 東プレ Realforce RC1
  • Epomaker EP64
  • Epomaker RT80
  • Epomaker Skyloong GK64 / GK64X / GK64XS
  • IQUNIX EZ63
  • Sikakeyb Castle HM66
  • Rabbit0 Sikakeyb HM66 Aegis
  • IROK ND63 PRO
  • HEMU HM XU Grain Rain / Loong66
  • WLMOUSE Ying63 Forged Carbon Keyboard
  • Nics Hesper64(100)

Epomaker EP64。
一応SkyloongのGK64系(X/XS)、SK64系(64S\66S)、Sikakeyb Castle HM66あたりもこの配列ですが入手困難です。
ただしEP64のほうがUSBレシーバー対応してたり、もともと着いているWisteria軸やFlamingo軸が良品ですし、元の価格が激安なのでEP64でいいです。3台持ってます。
EP64も終売っぽくてちょっと入手困難気味です。
次点ではRT80が良かったんですが(RC1と同じ配列!)、これも一瞬で終売したようです。3台持ってます。

購入直後に記念撮影したやつ。このあと息をするようにShiftとDELを入れ替えて無刻印化しました。

Epomaker EP64も今回のカスタムが可能ですが、Epomaker DriverではF13の割当ができない? ようですので、速攻魔法AutoHotKeyの効果でScroll Lockを生贄に「\ _」キーを手札から特殊召喚することにします。あとはInsertキーが嫌いなのでInsertを生贄にしてもいいかもです。Scroll Lockって使ったことないんですがどういう効果なんですか?

普通のUSキーではそんな都合良く「?」と「↑」キー(または右Shift)の間に余剰キーがありませんので、右Alt、右Ctrlあたりか右上のHome/Endなどのキーに割り当てると良いと思います。Rudraは普段PgUp/DownやHome/Endは単体のキーで使うことがなく、Fn+カーソルキーに割り当てて使ってますので、この辺のキーは潰しちゃっても問題ないです。

Keychron V2 Max。右上にF13を割り当ててみる

というわけでキーボード側の下準備は完了。

 

AutoHotKeyを使ってF13キーの挙動を変更する

次は本題、AutoHotKey(以下AHK)をインストールします。

https://www.autohotkey.com/

AHKをインストールしたら起動しておきます。
AHKのウインドウ自体はバツで閉じてOKです。

AHKのスクリプトを準備する

適当なところにAHKのスクリプトを準備していきます。
新規テキストドキュメントの作成もしくはメモ帳を開いて適当な場所に保存します。
Rudraはドキュメントフォルダ内に「AHK」というフォルダを作成し、その中に作りました。

新規テキストで作成した .txt ファイルを開き、メモ帳やVSCode等、お好きなエディタで以下の文章を貼っつけます。
セミコロンのあとに日本語で説明文がありますが、これ込みでも大丈夫です。ただのコメントですので。

; F13キー単体で「\」を入力
F13::Send, {vkDCsc07D}

; Shift+F13で「_」を入力
+F13::Send, _

適当な名前でファイル名を保存しておきましょう。
保存時でも保存後でもいいので、.txt を .ahk とリネームします。
最終的に、Rudraは
F13_to_BSLS.ahk
という名称で保存しました。BSLSというのはバックスラッシュの略称ですね。

そうしましたら、AHKファイルをダブルクリックして起動。これで完了です!
もうF13キーにキーアサインしたキーで入力すれば、JISの「 ¥ / _ 」 キーと同じ挙動になっています。

嬉しくてつい連打してしまった図

Rudraは前述の通りアサインの関係でF13ではなくScroll Lockでも打てるようにします。Scroll Lock to BSLSのAHKスクリプトはこちら。

; Scroll Lockキー単体で「\」を入力
ScrollLock::Send, \

; Shift + Scroll Lockで「_」を入力
+ScrollLock::Send, _

この辺で犠牲になってもらうキーを変えれば適宜カスタムできます。
例えば、右Alt、Insert、右Shift、右Ctrl、とか各自の使用頻度に合わせてカスタム可能です。
カスタムするにあたっては、上記のRudraのコードをAIに渡して、聞いたらいい感じにコード出してくれると思います。

(任意)スタートアップにAHKを登録して、再起動時に自動起動させる

ここからは任意の作業ですが、スタートアップ、つまりWindows起動時にこのスクリプトを自動起動させる方法です。
これをやっておかないと、再起動後はF13がただのF13となってしまい、該当キーが置物と化します(もう一回AHKファイルを起動すればOKです)。

まずはエクスプローラーで適当なフォルダを開いて、アドレスバーに

と入力。
スタートアップというフォルダへ飛びますので、ここに、前述のAHKファイルをAltを押しながらドラッグ・アンド・ドロップします。

するとAHKファイルのショートカットがスタートアップフォルダにコピーされますので、これで再起動時に自動でスクリプトが起動するようになります。

 

というわけで今回は「USキーボードをJISとして認識させているときにアンダーバーを打つ方法」でした。

果たして需要はあるのか(4回目)。

ちなみにRudraも先日この方法を思いつくまではかなり試行錯誤していて、スキャンコードやキーコード、VIAの”Any”で「KC_◯◯」のキーアサインにチャレンジしたりとめちゃくちゃ苦労しました。
PerplexityやClaudeを駆使して6時間くらい調べたりAIと相談したりしました。最終的には「F13」を駆使するという閃きを元にClaudeと相談して具体的な実装方法を研究したりと、なかなか苦労しました。
Rudraのリサーチ力(ぢから)ではこの方法で解決している人は見つけられなかった、といいますか、みんなだいたい 「OSをUSキーボードにする(諦観の念)」 とか、空いてるキーにマクロで文字入力+変換のキーを打ったり(ゴリ押し)してたので、人類初かもしれんかなり実用的なカスタムではと思います。

というわけでこれでUSキーボードを恐れることなくJISキーボードと同じように操ることができちゃいます。
USキーボードのメカニカルキーボードなら非常にユニークなキーキャップが市販してたり、所謂ゲーミングキーボードも大抵USキーボードですし、やっすく手に入る(2000円台~)メカニカルキーボードもUSばっかりです。

めっちゃファンシーなものからサイバーパンクなものまでほぼ9割がUSキー。

もうUSキーボードの導入に躊躇しなくて良くなるので、面白いキーキャップを見つけて「ああ、これもUSかあ……」とがっかりする日々とはお別れです。
USキーもJISで認識させてゴリ押しで使えばいいんだよ、ってことでみんなもキーボード沼においでよ。

繰り返しになりますが文中にもある通り、USキーボードは下から2段目(Z、X、Cの段)がJISキーボードより1つキーが少ない(JISの「?」と「右Shift」の間にある「_」キーが存在しない)ので注意しましょう。

さっきも書きましたが、Rudraが知ってる限りでは

  • NuPhy Air 60 v2(初代も同じ配列だがVIA非対応)
  • 東プレ Realforce RC1
  • Epomaker EP64
  • Epomaker RT80
  • Epomaker Skyloong GK64 / GK64X / GK64XS
  • IQUNIX EZ63
  • Sikakeyb Castle HM66
  • Rabbit0 Sikakeyb HM66 Aegis
  • IROK ND63 PRO
  • HEMU HM XU Grain Rain / Loong66
  • WLMOUSE Ying63 Forged Carbon Keyboard
  • Nics Hesper64(100)

以外でUSながら下から2段目がJISと同じ配列のキーボードは見つけられてません。見つけたら教えてください。マジで。3台買います。
UK配列で左ShiftとZの間にキーが一個あるモデルはそこそこありますけど、アレはちょっと違うんだよなぁ……。

以前書いたキーボードの記事もよろしくお願いします。

▼キーボード沼の記事▼

おいでよキーボードぬま。じゃんぱら店員がプライベートで使ってるキーボードを紹介します(前編)

いいキーボードに音楽は要らない。じゃんぱらスタッフの愛用キーボード5選(後編)