イヤホンってやっぱ生えてくるんだよなあ。Rudra。
今回は低遅延のワイヤレスイヤホン、JBL Quantum TWSの長期使用レポです。
見た目ふつうのワイヤレスイヤホンですがUSB Type-Cのドングル(2.4Ghz)を使用できるのが特徴。
特筆すべき点はそれだけですが、この武器ひとつで八面六臂の活躍を見せてくれています。
底が見えるまで使い倒してみたのでつらつらと綴ってゆきます。

購入のきっかけは、買ったばかりのミニPCと手持ちのBluetoothイヤホンを接続したときのことでした。
Rudra:(遅延やばすぎる……)
リップシンクどころの騒ぎではないくらい遅延がひどく、かといってBluetoothのカードを買ったところで改善するか不明なので二の足を踏んでいました。
というより本音は、複数所有しているPCすべてでBluetooth環境整えるのにお金と労力がそこそこ掛かること、複数台ある関係で再ペアリングや切り替えなどの手間が面倒で結局使わなくなりそうと懸念していました。
そんな折に2.4Ghzで使えるTWSを探しまくったところ、USBドングルでもBluetoothでも使える本機の発表を見つけて即予約したのでした。
ちなみにQuantum TWSは 2022/7/22 に発売された新しめのイヤホンです。

まずはやっぱり第一の目的であるPCとの接続で試したいところ。
プラグアンドプレイでも使えはしますが、JBLのQuantum ENGINEのインストールを促されます。

アプリで7.1chでのサラウンドに対応するようです。とりあえず指示通りにインストール。

イコライザー、サウンド、マイクの設定をアプリ上で行えます。

アプリ起動中に音を流すと、左下にビジュアライザーが表示されてノスタルジックな気持ちにもなれます。

というかビジュアライザーって言葉自体、久々に使いました。
十数年前は割と音楽用ソフトやDAPでデフォルト表示されていたんですが……そういえば何時からかほとんど見かけなくなりましたね。
あれを眺めるの、嫌いじゃなかったんですが……

閑話休題……

ちなみにBluetoothにも同時に繋がっているとき(デュアルリンク)は中央上部にBluetoothで接続したスマホの端末名が表示されます。画像に加工していますが、画像ではiPhone 12 miniに接続されています。

PCで動画・音楽を視聴中であっても、Bluetooth接続先に電話が掛かってきたときにロゴ部分をタップすることで電話に出ることが可能です。

物理ボタンじゃなくタッチ式です。

通話品質は上々で、過不足なく使用可能です。
最近ではスマホだけでなくPCでの通話も一般的になっています。
Rudra自身も実際通話で長時間使用してみてますが、使用しているチャットツールやネット回線等のボトルネックを作らなければ快適に使えます。
デスクトップPCだと通常のイヤホンの長さが足りなかったりしますし、ヘッドセットでは逆にケーブルが余ったりと、ケーブリングが煩わしかったのでコレで全てが解決しました。

ちなみにドングルがType-Cということで色々思いついた方もいると思いますが……。
実はスマホやiPadでも普通にドングルをさせば音楽や通話に使えてしまいます。

でも、スマホが黒以外だとちょっと浮きそうです。あと、ふいにぶつけてアダプタを折らないか心配。

AirPods Proで長電話しすぎて充電がなくなってしまうことがありますが、そういう時にQuantum TWSのドングルをさして入れ替えたりして使っています。
Quantum TWSの充電がなくなるころにはAirPods Proの充電が復活しているので、ローテーションすれば永遠に電話できます。というか、先に本体の充電が切れます。

あと、個人的に端末やイヤホンが多いせいで「あれ、このイヤホンってどの端末と繋がってたっけな……」という状況がしばしば発生していて、接続先のスマホやタブレットのBluetooth設定画面をかたっぱしから見ていくという無駄な作業をしていました。
これを買ってからはQuantum TWSのドングルをスマホ・タブレットに繋ぐだけで音楽・動画視聴できるので、Bluetooth接続先を探したり別の端末への再ペアリングなどの手間がなくなりとてもありがたい限りです。
(接続先が結局わからなくて、これまで何回イヤホンをリセットしたことか……)

ちなみにスマホにもコンパニオンアプリがありますが、Bluetooth時でないと認識してくれません。

ヘッドホンが見つかりません。目の前にあるのに。

Bluetooth接続時にスマホアプリで変更した設定は記憶してくれるので、通話時に違和感を感じたりすることはないです。
(Rudraは通話時に自動でアンビエントモードに切り替える設定にしています)

注意する点としては、ドングル使用時とBluetooth使用時でタップの挙動が変わることでしょうか。
ドングル使用時はアンビエントモード / ノイズキャンセリング / 効果OFFの切り替えと、マイクOFF、トークスルー(消音+アンビエントモード)くらいしかできません。
再生 / 一時停止 や 次の曲 / 前の曲 の操作ができれば文句なかったのですが……。
ドングルでは音楽コントロールが技術的に難しいのか? と一瞬思いましたが、Logicoolのキーボード(USBドングル使用)で音楽コントロールできているのでそんなことはなさそう。
将来、アップデートで追加されたらいいですね。

ちなみにドングルは適当なアダプタを使って通常サイズのUSBに変換しても動作します。

この状態でPCやらPS4で使えました。

うちのデスクトップは5インチベイのフロントパネルまわりを新調していないのでType-C端子がありませんが、変換しても普通に使えています。
この辺の汎用性はやっぱりUSBならではですね。

 

そして、Quantum TWSの最大の魅力である「低遅延」。
低遅延を体験すべく、iPadに繋げて音ゲーやってみました。

iPadをはじめとしスマホやタブレットでは、PCと比べてBluetoothでの遅延はかなり抑えられています。
試しにバンドリ(ガルパ)でそこそこ忙しめな、28レベルの曲(God knows…)をプレイ。
スコア画面で表示されるパーフェクト未満の判定の差をご覧ください。

Bluetooth接続時。これでも数回やってみてマシなほうでした。

ドングル接続時。ギリフルコンならずですが、何回かやればフルコンも出そう。有線との体感の差はないです。

実際に音ゲーをプレイするとやっぱり雲泥の差。有線やUSB-DAC使用時と変わらない感覚です。
ちなみにBluetoothイヤホンでは、聞いている音と譜面が一致しない状態が常時続くので勘だけでやってます。ボロッボロです。

もともとPCのBluetoothコーデックやバージョンに悩まされて、カード増設したりするよりドングルで使えるイヤホン買えばよくね? という思考回路で買ったものですが、音ゲーでも耐えうるというのは超低遅延である証左にほかなりません。

ちなみにJBLにおける「Quantum」はゲーミングデバイスに向けてつけられる名称で、これまでもヘッドホン・ヘッドセットはリリースされていました。
今回のイヤホンも例に漏れず、ゲーミングを想定されているものなので、当然ながらPCゲームでも動作しますし、SwitchやPS4でも動作することを確認しました。

左上に「USB」と出ればOK。ところで風のクロノアとか懐かしすぎて涙出ますよ。まぁPC版も買ったので(え?)、Switch版は永久にStage 1-1 ですが。

入力もQuantum TWSになっていますが、残念ながらマイクは反応してない模様。L〇c〇R〇c〇がかわいい。

残念ながらPS5は所有していませんので試せてないです。Steamに魂を売ったので……お察しください。Last of Us Part1 リメイクが発売日にプレイできないことが唯一の心残り

 

さて、有線イヤホンとほとんど変わらぬクオリティでの低遅延に抑えたQuantum TWSですが、実測してみたらどのくらいなのか……気になりませんか?
Rudraは気になります。

ということで、実測しました。
機材は要りますが、方法はいたって簡単です。

1.メトロノームのフリー音源をどこからか拾ってくる。
2.Audacity(フリーソフト)にメトロノームの音源を読み込ませる。
3.メトロノームの音を流しながら、マイクにイヤホンを押し当てる。
4.マイクで拾った音のトラックと、メトロノームのトラックのズレを引き算して遅延を求める。

という流れ。
人間が普通にイヤホンを使うのであれば、3の手順のマイク=人間の耳になります。
4番の「マイクで拾った音のトラック」には、オーディオインターフェイスなどの影響による遅延が含まれるため、今回の実験では数値は極々わずかに大きめに出ているはずです。
それと機材は何でもいいんですが、Rudraのは以下の通り。

マイク:Behringer XM8500
オーディオI/F:UR22C
PC:その辺にあったWin11搭載PC。もちろんサウンドカードなんてのはありません。

というわけで早速いきましょう。

間抜けな絵面ですが計測はできました。指向性マイクなんて持ってない。

まずはBluetoothイヤホンの計測。イヤホンはJabra Elite 75tです。

上の2本のトラックがメトロノームのLとRのステレオのトラックです。
上から3本目のトラックがモノラル(に分離した)Bluetoothイヤホンから聞こえたメトロノーム音です。
ちなみにオーディオインターフェイスでゲインを調整しても、波長がゴマほどしか採れなかったため、Audacityの機能で無理やりに目視しやすい波長になるまで調整しています。
(エフェクト > ディストーション > Leveller > レベル+5 を 3回程度実行)

この波長を見る限りでも大分遅延がわかりやすいですが、正確を期すために、
「波長の第一波の頂点」を基準にして範囲選択し、下の時計を見て引き算していきます。

そして実際に「波長の第一波の頂点」を基準にして選択した図がこちら。
下の時計を見ると、開始点が 2.016秒、終了点が2.378秒となっています。
これを引き算すると、0.362秒、つまりよく見る「ms」の値に直すと「362ms」の遅れが生じていることになります。
ただし、この計測方法ではオーディオインターフェイスとマイクで起こった遅延(コンバーター、ケーブリング、接続方法などの影響)を考慮していないので、参考までに。

オーディオインターフェイスやらD/Aコンバータやらの遅延を考慮するなら有線イヤホンで繋げばよいということで、EarPods、iPhone付属の白いアレを使って再計測してみます。

EarPodsですと、波長の差はこのとおり。
Bluetoothとは雲泥の差ですが、実際はやはり多少のズレがあります。
実は有線の遅延は「0.000秒(000ms)」にならず、わずかな遅延が生じています。

先ほど同様の手順でみていくと、0.02秒、20msの遅延が起こっていると判明しました。
日本音響学会によれば、人間は音の遅延を約0.125秒(125ms)から検知でき、許容できる遅延が約0.185秒(185ms)までだそうです。
つまり、有線での遅延というのは人間の検知できる秒数の半分の半分未満となります。
反対に、音が早い場合の検知値と許容値はもっと短くなりますが、今回は割愛します。興味があればこちらからどうぞ。

さて、有線で起こる遅延が0.02秒、20ms、人間が検知できるのが約0.125秒(125ms)からという情報を前提にQuantum TWSの遅延を実測していきましょう。

Quantum TWSでの実測はこんな感じ。
Bluetoothとは明らかに違い、有線イヤホンに近いズレ方ですね。これは期待できそう!

結果、
0.039秒(39ms)
となりました!

人間が遅延を検知できる秒数の半分未満、ということになりますね。
つまり、これはどういうことかというと……

ゲームやってるときに、失敗した原因をQuantum TWSのせいにできない、ということですね。
このイヤホンを使うからには、道具のせいにしないで腕を磨きましょう。

ちなみに公式の表記は50ms、つまり0.05秒となっています。
公式を上回ってしまったのですが、Razer公式のAudio Latency TestのようなYoutube動画での人間が手押しするよりは正確な計測方法だと思うので、Rudraはとりあえずいったんこれで受け入れます。
まぁ、計測方法によって結果は如何様にも変わるので、参考までに。
マイクは100均一のUSBマイクとかでもできると思うので、お手持ちのイヤホンの遅延を調べたい方はこの方法を応用してみてください。

ということで、今回はJBL  Quantum TWS でした。
ちなみに、2.4GHz(ドングル)とBluetoothのハイブリッドのワイヤレスイヤホンは他にもあります。

・Kingston HyperX Cloud MIX Buds Ture Wireless
・EPOS GTW-270 Hybrid
・FEDIKER MIDDLE RABBIT SW4

SW4はRudraも所有していて、この中ではAmazonで7000円弱なのでお手軽です。

SW4

が、JBLといえば少し前にClub Pro+でオーディオマニアをざわつかせた(とても良い意味で)というのが印象強く、音質面に期待してJBLをチョイスしました。
今回文字数が多く触れられていませんが、期待通りに音質もよく、そもそもBluetoothイヤホンとしても使え、ノイズキャンセリングや外音取り込みも使用できます。
まだワイヤレスイヤホンを一つも持っておらず、オールインワンに使いたい、というのをお探しなら間違いない一品だと思います。