【EOS RP】のファーストインプレッションを以前の記事で書きましたが
今回はその続編です。

【新製品レビュー】【Canon EOS RP】RPのPは何のP

 

3月の発売からそろそろ3カ月が経ちました。

ミラーレスカメラを購入するとまずは対応するマウントアダプターを集めてしまう
elmarです。

今回は【EOS RP】でオールドレンズの深ーい世界を味わってみたいと思います。

オールドレンズといえばやはりライカレンズが有名ですね。

手持ちのライカレンズからいくつか試してみます。

EOS RPユーザーの皆さんはもちろん、ミラーレス機はバッテリー消費が比較的多いので撮影に出かけるときは必ず予備バッテリーを持っていきましょう。

SONY α7シリーズの一部は第2世代からバッテリーが2個、付属するようになっていますからメーカーも持続時間の短さに気が付いていたようです。

現行のα7第3世代はバッテリーがNP-FZ100に刷新され従来型のNP-FW50の2倍の容量を持つことになりました。

こういった点もあるのかフルサイズミラーレス市場ではSONYが強い状況が続いています。

もちろん最初からこうだったわけではなく、初代α7発売当時もバッテリーの持ち時間は一般的な一眼レフに比べて短く、苦労させられたものです。

同じ土俵に後から登ったCanon、Nikonの次世代機はSONY機を追い越すスペックで登場してほしいですね。

さて話題をオールドレンズに戻します。

多くのオールドレンズはオートフォーカスが開発される前の機種で撮影者が自分でピントを合わせるマニュアルフォーカスです。

一眼レフは鏡を反射してきた画像をプリズムで曲げてピントを合わせます。

このシステムが普及するまではミラーやペンタプリズムを持たないレンジファインダー機が主流でした。

前回の記事で取り上げたCanon EOS RPの「P」の由来である「Canon P」もレンジファインダー機です。

そのレンジファインダー機の究極の一台とも呼ばれるのが「ライカ M3」です。

1950年に発表され52年より販売されたカメラです。

なんと今から69年前になるのですね。

レンズは50mmが標準でファインダーも50mmの画角です。

このファインダーは取り付けるレンズによってズームするわけではなく例えば90mmレンズを取り付ければ画面内に「ブライトフレーム」と呼ばれる枠が現れます。

この枠内が撮影範囲となる仕組みです。

撮影者にとっては撮影範囲外が把握できる点は良いのですが望遠になればなるほど枠が小さくなり扱いずらくなります。

ピント合わせは中央の2重像を合致させる方式で機械的な連動で成り立っているシステムです。

機械的な精度を維持しなければなりませんのでこの時代のカメラやレンズは実に丈夫に丁寧に作られています。

それもそのはずで現代では考えられないほど高価な製品だったのですね。

このM3と同時に登場した標準レンズが「ズミクロン 50mm F2」で当時の日本の技術ではレンズの性能、カメラの造りともにおよびませんでした。

戦後、焼け野原から立ち上がりライカやコンタックスにあと一歩まで迫った国産カメラめかーはこの「M3ショック」以降、製造コストのかかるレンジファインダー機の製造から徐々に手を引き、より廉価で生産効率の高い一眼レフを武器に市場を席捲していきました。

今回はライカM3の標準レンズだったズミクロン50mm F2から試してみましょう。

DR Summicron M 50mm F2
こちらは通常のズミクロンの鏡胴を改良して近接撮影ができるように工夫されたもので「近接ズミクロン」「デュアルレンジ ズミクロン」とも呼ばれています。
一説には通常のものより選別された製品を組み込んだともいわれています。

 撮影距離1mで撮影しています。

レジファインダー機としては一般的な最短撮影距離です。

これはカメラの構造上、ファインダーとレンズの視差が生まれてしまううえ、ピント合わせが困難になるためです。

DR Summicronはピントリングを1mより近くに設定することができます。

こんな感じでピントリングを引っ張り出して近距離側に切り替えます。

このカットはフォーカスリングを近距離側に切り変えて撮影しています。

本来はライカM3に装着している状態で下の画像のように専用のアタッチメントを取り付ける事で切り替えができるようになります。

しかしレンズ上のボタンを押して近距離側へ強制的に切り替えると撮影が可能になります。※正規の使い方ではありませんのでこれによって破損したり故障しても当方は一切保証致しません。

ライカレンズの恐ろしいところはこのような機械的なギミックが何十年も使えてしまうところです。

描写はご覧のとおり質感がよく出る独特のものでうまく使えばポートレートにも有効でしょう。

ELMAR M 9cm F4

注)この世代のライカレンズはcm表記となっているものがあります。このレンズも9cm表記なので原文のまま記載します。

いくつかバリエーションがありますがこれは固定鏡胴のもの。

M型ライカ用の望遠レンズは人気がなくて比較的安価で購入できるのも魅力。

キリキリの高解像度ではありませんが実に優しい写り方をします。

背景との距離を確保すれば90mm F4のレンズでもぼかして印象的に演出できます。

メインの被写体を活かすように背景を処理できるのも中望遠レンズの良いところでしょう。

Elmar 9cm F4は解像力よりもトーンで語りかけてくるようです。

このレンズは現代のレンズでは考えられないほど絞り羽根が多いんです。

なんと15枚もあります!

上の写真のように光源が背景に入っても絞りの形が出ません。

設計当時はボケの美しさは考えていなかったようで純粋に絞りの理想を追求していたのでしょう。

ライカR用レンズ

ライカ初の一眼レフ「Leicaflexシリーズ」「Leica Rシリーズ」用のレンズ。

LeicaFlexはライカ初の一眼レフとして1965年に発売されましたが当時の日本製一眼レフとの性能差は大きく販売面では苦戦を強いられたようです。

画像の【LeicaFlex MarkI】のペンタ部前面に見られる「窓」は測光用でレンズを通ってくる光を測る方式ではありません。

1963年には世界初のTTL測光を実現したトプコンREスーパーが世にでていますので既に周回遅れともいえます。

しかし一眼レフ用に新たに設計されたレンズ群はレンジファインダーのM型ライカ用レンズとはまた異なる描写で私を含めファンも多いレンズたちです。

Summicron R 50mm F2

【LeicaFlex】用レンズとして1965年に登場。

カメラの機能アップに従って絞り連動機能が強化され時代によって数種類のバリエーションがあります。

elmar所有のものは初期のモデルでいわゆる【先細ズミクロン】です。

後期になると外形的には太くなっていきます。

1962年の完成当時は東洋最大規模と謳われた「草加松原団地」。

国道4号沿いの広大な団地でしたが現在は老朽化のため解体され建て替え中です。

東武伊勢崎線(現 東武スカイツリーライン)の駅名にもなっていましたがそれも今は昔。

Summicron R 90mm F2

長年に渡り製造されていたライカR用の中望遠レンズ。

Leicaflexに装着するとこんな感じです。

全長があまりないのが印象的。

EOS RPに装着したところ。

望遠レンズっぽくなりますね。

ボケ具合がなんとも美しいレンズです。

カリっとした描写ではありませんが実体感がよく出る感じですね。

Elamrit R 35mm F2.8

手持ちのレンズはいわゆる「先細」タイプで初期型に属するエルマリート35mm F2.8です。

2枚目は最短距離付近の撮影で絞りはF2.4あたりです。

ピント面のコントラストが立ち上がっていて周辺へむかって落ちていくのがライカレンズらしく惚れ直しました。

さていかがだったでしょうか。

ライカのオールドレンズは様々な種類がありますが共通しているのは描写に説得力があると言えるのではないでしょうか。

解像力やコントラスト比に縛られない「何か」がそこにはあるように思えます。

おそらく数値的なアプローチ以上にベストな製品を産み出そうとするクラフトマンシップがそこには感じられます。

マウントアダプターは現代と歴史をつなぐ架け橋のようなもの。

ミラーレス一眼を持っているあるいはこれから手に入れる方はレンズキットの標準ズームの次にはぜひ、チャレンジしてみませんか。

以上、elmarがお送りしました。