長かった夏も過ぎ紅葉も進んでいい季節になりました。
さて、今回は2023年10月27日に販売開始となったフルサイズミラーレスカメラ【Nikon Z f】をレビューして行きます。
思えばDXフォーマット機Nikon Z fcが発売された時に「この路線でフルサイズ機が欲しい」と思った方はelmarだけではないはず。
Z fc関連記事は下記よりどうぞ
【Nikon Z fc 28mm f/2.8 キット】レビュー
【Nikon Z fc】お似合いのレンズを探せ!
ある意味で夢が叶ったわけで素直に喜ばしいです。
発売日の時点では予約でいっぱいで当面は入手困難な状況が続くものと思われます。
elmarは予約開始と同時に申し込んでいましたから運良く発売日に入手する事ができました。
それでは開封していきます!
外箱はシンプルでザラっとした質感の紙質です。
コート紙を使うZ9、Z8などのメインストリーム機とは違う演出なのでしょうか。
同梱される付属品はUSB-Cケーブルと簡易マニュアル、バッテリー EN-EL15cのみとシンプル。
バッテリーチャージャーは別売りですがカメラ本体で充電可能です。
新発売でPD対応のACアダプターが必須なMH-33が組み合わせとしてはベストですがこちらも予約でいっぱいのようで入手困難。
しかし従来からあるAC電源用のMH-25aが使用可能です。
(10月末日現在、メーカー品切中)
早速、バッテリーを本体に入れて電源ONしたら起動せず。
ひとまずバッテリーをボディーに装着して充電しておきます。
ACアダプターやケーブルに相性が結構あるらしいですがelmarの場合は手持ちのiPad Pro11インチ(第2世代)用の純正ACアダプターとケーブルを使って無事、充電できました。
それではじっくりとカメラを眺めていきましょう。
Nikonの名機であるFM2をモチーフにしたヘリテイジデザイン。
個人的にはNikon F3のデザインを希望していたのですがこのデザインもスッキリとまとまっていて使いやすそうです。
Z fcより一回り大きく各ボタンの配置に余裕があるように感じます。
2013年に発売されたデジタル一眼レフ時代のNikon Dfよりボディ前面のボタンやレバー類が少なくスリムでスッキリした印象です。
トップカバーはマグネシウム合金で作られており質感が高く「あの頃のカメラ」を思い出させます。
シャッタースピードダイヤルは真鍮製で回転させた時のカチカチとした操作感が「写真機」を使っている感覚を盛り上げます。
また、シャッターダイヤル基部には静止画、動画の切り替えレバーがありますが本機はここにB&Wモードが追加されています。
瞬時にモノクローム撮影に切り替えできるので重宝しそうな機能です。
ISOダイヤルも真鍮製でひんやりとした感触がたまりません。
基部には撮影モードレバーがあり、このあたりの配置はZ fcを踏襲しているようです。
「Nikon」や「Z f」などは刻印仕上げとなっていて高級感があります。
※FM2の時代には白文字をマジックで黒く塗るのがプロっぽくて流行ったのはさておきます
ディスプレイの背面はシボ革になっておりNikon Directの「Z f プレミアムエクステリア張替キャンペーン」に申し込めば好みのカラーに変更も可能です。
Z fcはディスプレイ背面は対象になっていなかったのでどの色にしてもブラックのままでしたがZ fは同色になりますので更に愛着が湧くことでしょう。
納期が3週間程かかるので今回は申し込んでいませんが「インディゴブルー」などに変えて見るのもいいかもしれません。
SDカードとMicroSDカードによるデュアルスロットはバッテリー室内にあります。
動画と静止画、JPEGとRAWなど使い方は多々ありそうです。
Z fcと比較してみるとボディサイズの違いがよくわかります。
こうしてみるとまさにZ fcの兄貴分といった風情でFMシリーズとF2、F3の関係性を想起させます。
Nikon FEと比較。
電子シャッター機のFE、FE2のボディサイズはFM、FM2とほぼ同等です。
やはり少し大柄ですね。
1980年台のNikonフラッグシップ機F3との比較。
F3のデザインは車のデザインで有名なジウジアーロによるものでグリップのレッドラインがアクセントになっています。
70〜80年代のNikonのラインナップは下記のように階層がありました。
F2,F3 フラッグシップ/システムカメラ
FA 分割測光を初搭載した多機能機
FE /FE2 絞り優先AE機
FM/FM2/NewFM2 機械式シャッター/マニュアル露出機
EM 小型軽量/入門機
プロ、ハイアマはフラッグシップ機を使っていることが多かったですがF3は電子シャッター機だったため電池が切れると撮影ができなくなる可能性があります。
万一に備えて機械式のFMシリーズをバックアップに準備しておくことが多かったように思います。
またNewFM2は機械式でありながら1/4000秒シャッター、ストロボシンクロ1/250秒という当時のフラッグシップ機F3より優れたスペックを持っていたため現場ではサブ機がメイン機になることもしばしばあったようです。
現代では考えられない事ですが撮影現場で仕上がりが確認できないのでフェイルセーフの概念は本当に大切でした。
elmarが機械式フィルムカメラにこだわるのもここに原点があります。
Z fはその外観とは裏腹に非常に高いスペックを持っています。
2400万画素クラスフルサイズセンサー
最大8.0段のボディ内手ぶれ補正
6Kオーバーサンプリング4K動画対応
デュアルスロット対応
などなど
注目したいのは世界初となる手ぶれ補正で世界初となるフォーカスポイントVRです。
これは被写体が画面端にあってもフォーカスポイントを中心としてVR(手ぶれ補正)が働く機能で従来の画面中心を基準とした補正より特に広角レンズでの効果に期待ができます。
もちろん、すべての条件で動作するわけではなく下記の条件での対応らしいです。
※VR非搭載のNIKKOR Z レンズ使用で、静止画時のみ。フォーカスエリア枠が複数時は非可動。
ワイドフォーカスエリアに設定して複数のポイントが検出されると画面中央優先となるのでこの機能を使いたい時は注意が必要です。
さて、充電もできましたので撮影に入ります。
前述したようにボディ前面にボタン類がすくないためいささか指かかりに不安を抱いていたのですが実際に撮影し始めると全く気になりません。
しっくりと手になじむ感覚があり、良い相棒になってくれそうです。
ファインダーは約369万ドットQLEDで非常に見やすく反応も速いです。
まずはレンズキットでの供給もされている40mmF2(SE)から使ってみます。
撮影にあたってはJPEG撮って出し、ピクチャーコントロールはカラーは「A」モノクロームは「フラットモノクローム」「ディープトーンモノクローム」を使用しています。
夜の国道246号線を手持ち撮影しています。
手ぶれ補正をONにしていますがシャッター速度は1/8秒ですがピタリと止まります。
上の写真から切り出していますがフォーカスポイントは赤枠あたりに設定して撮影しています。
すべての条件下で有効とはなりませんが構図によっては非常に助かる機能でこれだけでもZ fを買う価値があると言っても過言ではないかもしれません。
以下、作例続きます。
ピクチャーコントロールはディープトーンモノクロームを選択。
シャドー部が潰れずに深い質感が表現できる設定です。
ちょうど日陰になったところでしたが手ぶれ補正の恩恵で1/15秒でもブレずに撮影できます。
露出補正-2.0として空の質感を重視した撮影。
有名な赤煉瓦倉庫ですがちょっとイメージが変わります。
こちらはNikkor Z 28mm f/2.8 SEでの撮影。
横浜港・大桟橋は船の甲板を思わせる板張りで非常にフォトジェニックなところです。
このカットはシャッター速度1/5秒でもちろん、手持ち撮影です。
木目の質感と光線のコラボレーションがいいですね。
Z fと純正レンズの組み合わせはどんなシーンでも破綻なく描写され失敗も少なくいつでも楽しく撮影ができそうです。
ヘリテイジデザインは持つ喜びを満たしてくれ、道具としての完成度も非常に高いカメラです。
しばらくは品薄で入手困難かもしれませんがぜひ、ご検討を。。。
といったありがちな紹介記事で終わらないのが当ブログです。
紙面も残り少ないですがちょっと変わったレンズで遊んでみましょう。
Voigtlander Snapshot-Skopar 25mm f4 シルバー
コシナ製のフォクトレンダーブランドレンズ。
ライカねじマウントで距離計非連動ですが1m、1.5m、3mにクリックストップが設けられていて目測でピントを合わせるレンズです。
SONY α7やLeica M9の頃は画面周辺がマゼンタ被りを起こしていてモノクローム専用レンズとなっていました。
周辺光量落ちはありますがカラーシフトは気になりません。
そしてこのレンズでのディープトーンモノクロームの描写はこうなります。
中央がシャープで周辺に行くに従って光量が落ちドラマティックな描写です。
日常を異世界の入り口に変えてしまうかの描写はクセになりますね。
GIZMON Wtulens SONY Eマウント
なんとレンズ付きフィルム「写るんです」用のレンズを2枚組み合わせた構成のお手軽超広角レンズです。
絞りはF16固定で画角は17mm相当でフォーカス調整機能はレンズマウントを緩めて繰り出すという仕様。
elmarはあまり使わない表現ですが「エモい描写」じゃないでしょうか。
Leitz Summicron R 50mm F2
Leica初の一眼レフカメラLeicaFlex用として開発されたRマウントの標準レンズ。
Summicron-Rにはいくつかのバリエーションがありますがelmar所有の個体は初期に近い所謂、先細ズミクロンと呼ばれるタイプです。
当時、世界に冠たるカメラメーカーだったLeicaの標準レンズらしく納得の描写です。
後期型のレンズはもっとコッテリとした色のりでゴージャスなイメージでしたがこのレンズには芯があります。
さていかがだったでしょうか。
Nikon Z fは最新の機能を内包しながら写真機を操る楽しさを思い出させてくれるカメラなのではないかと思います。
フィルムカメラ時代からのユーザーには懐かしく、現代のユーザーには新しい価値観を魅せてくれるようです。
Z fを入手したらやろうと思っていたF3風カスタムもやってみました。
レッドラインは色画用紙に両面テープを貼り付けて切り出しました。
ちょっと太くなってますがいい感じに出来ました。
気分よく写真が撮れる事も大事です。
以上、elmarがお送りしました。