今回はFiiOから発売されている BTA30 Proをレビューしていきます。
11月発売とアナウンスされていましたが折からの半導体不足でいきなりの受注停止。
入手困難なアイテムとなっています。
運良くこの商品を入手できましたのでレビューしてみたいと思います。
まずは機能のご紹介。
BTA30 Proはデジタル音声のハブとして機能し、Bluetoothの送受信を可能にします。
本機の入出力については以下のようになっています。
入力 | 最大サンプリングレート | |
USB-C | 384kHz/32bit DSD256 (DoP) | |
同軸デジタル | 384kHz/24bit DSD128 (DoP) | |
光デジタルデジタル | 192kHz/24bit | |
出力 | 最大サンプリングレート | |
同軸デジタル | 384kHz/24bit DSD128 (DoP) | |
光デジタル | 192kHz/24bit |
搭載されるDACチップはESS Technology製の「ES9038Q2M」でDSD256ほかハイレゾ再生に対応しています。
ワイヤレス用にはBluetoothで24bit伝送できるaptxHD対応のQUALCOMM CSR8675搭載。
もちろん、Bluetooth 5.0対応でハイレゾワイヤレス対応のヘッドホンが活用できます。
このデバイスはデジタル入力されたソースをアナログ出力するDACまたはワイヤレス出力するハブとして機能します。
またCDプレーヤーなどのSPD I/F出力から入力されたデジタル信号は内部でDSP処理させて最大192khzまでアップコンバートされます。
文字で書くと分かりにくいですが簡単に言えば追加する事によって従来のオーディオを最新式にする事ができる機器ということです。
本体はこのように小型のスマートフォンくらいのサイズで背面に入出力端子、前面に操作ボタンやボリュームダイヤルなどがあります。
USB-Cから電源供給および入力を行いますのでDAPからの接続はここに行います。
電源供給はモバイルバッテリーからも可能です。
デジタル入力はUSB-C以外に同軸デジタル端子と光デジタル端子が用意されていますので既存のCDプレーヤーなどが接続でき、既存のオーディオシステムに組み込むことが容易になっています。
elmarのオーディオ環境はここ数年変わっておらずメインのパワーアンプにMcintosh MC7270を使っています。
1987年発売の古いアンプですが270Wx270Wという有り余るパワーとMcintosh独自の出力トランスによってガッチリとスピーカーをドライブして実に機嫌良く音楽を奏でてくれます。
スピーカーはJBL S3500 というフロアタイプでツイーターを上下のウーハーが挟む仮装同軸形式の機種です。
仮装同軸とはいえ中音域以上はホーンスピーカーなので音場型ではなく音像型の鳴り方をします。
アナログ式のパワーメーターの動く様を眺めながらJAZZを聴くのが楽しいオーディオ環境です。
この時代がかったアンプに喝を入れるべくFiiO BTA30 Proを接続してみたいと思います。
アンプへの接続は一般的なRCA端子で行います。
端子間の間隔はそれほど大きくないので一般的なプラグでは問題ありませんが極太のオーディオプラグでは干渉する可能性はあるでしょう。
elmarの環境ではアナログレコード用のプリアンプとホームシアター用のAVアンプからの出力をMC7270へ自作セレクターを介して接続しています。
ステレオ1系統の空きがあるのでここに接続して準備完了。
iPhoneからコントロールするためのアプリ「FiiO Contorol」をダウンロード、インストールしておきます。
このアプリから音量やバランスを始めアップサンプリングの切り替えなどの設定を行います。
USB-C端子をPCやDAPの出力に接続して電源ボタンを押すとiPhoneの場合はBluetooth機器一覧に表示されるので接続します。
Bluetooth接続して機種を選択するとこの画面が開き現在の接続状況がわかります。
RX/DACのタブを開きます。
同軸、光デジタル入力を行う場合はこの画面でソースを選択可能。
下にスクロールするとヴォリュームや音声バランスの設定、アップサンプリングの設定画面になります。
好みに合わせて変更してみましょう。
Bluetooth送信の設定です。
お使いの機器に合わせて細かくコーデックを選択できます。
遅延の少ないaptx-LLに対応しているのも本機のポイントの一つ。
設定が決まれば音出しです。
まずはiPhoneにダウンロードした楽曲をApple Musicで聴いていきます。
アデル/ Strengers By Nature
ビットレート:24bit/44.1kHz ロスレス
久しぶりの新作「30」より1曲目を。
出だしのヴォーカルの定位が素晴らしく中盤の伴奏の盛り上がりから後半のヴォーカルがオフになっていく距離感が綺麗に再現されています。
アンプとスピーカーを使うと部屋の明かりを暗くしてヴォーカルをスッと立たせる聴くオーディオの醍醐味を堪能できます。
The DoobieBrothers / Long train runnin’
ビットレート:24bit/192kHz ハイレゾロスレス
ギターのリフが印象的なこの曲ですがApple Musicではハイレゾロスレスで配信されています。
BTA30 Pro 経由でスピーカーから鳴らすと重層的に重なるギターリフ以上に緻密な構成のリズム隊の演奏を充分に堪能できます。
FiiO Controlからアップサンプリングを試してみましたが楽曲により得手不得手があるかも知れません。
楽器の多い楽曲だとややソリッドに感じられる印象がありましたのでNormalでの試聴をメインにしています。
Maison book girl / 悲しみの子供たち
ビットレート:16bit/44.1kHz ロスレス
4人組アイドルユニットなのですが重い内容の歌詞が沁みます。
ピアノ、手拍子、パーカッションが重なっていくスリリングな展開。
ヴォーカル定位はセンター、コーラス時は横並びになるミキシングで爆音で聴くと迫力があります。
森口博子/水の星へ愛をこめて
ビットレート:16bit/44.1kHz ロスレス
曲については何も言うまい。
Zガンダム後期のOPテーマだった曲です。
じっくり聴き込むとヴォーカルの瑞々しさが光り、コーラス部分も聴き取れるようになります。
森口さんには後年、セルフカバーをした録音がありどれも秀逸でおすすめです。
JACO PASTORIUS /Donna Lee
ビットレート:16bit/44.1kHz ロスレス
定番ですが久しぶりにジャコを聴きたくなりました。
フレットを取り去ったエレクトリックベースでの正確無比で力強い演奏がいつの時代も個人的なベンチマークです。
King Crimson / Larks’Tongues in Aspic PartII
ビットレート:16bit/44.1kHz ロスレス
1960年代末から活動しているプログレッシブロックの伝説的バンド「キングクリムゾン」
プログレ好きなelmarとしては試聴しないわけには行きません。
2021年の世界ツアーの様子が余すところなく収録されています。
ギターの重い響きに呼応するように展開する3セットのドラムの迫力が鬼気迫るものがあります。
現在のバンドはトリプルドラムを主体とした野獣のような突進力を秘めた強力な布陣。
elmarも日本公演はもちろん参戦してこれが最後の来日公演と言われているパフォーマンスをたのしみました。
Cheap Trick / I Want You To Want Me(Live in JPN 1978)
ビットレート:24bit/44.1kHz ロスレス
日本でのブレイクをきっかけに世界的人気を博したバンドの一つ、チープトリックの名曲。
日本公園におけるサビに続くディレイを観客が耳コピして歌っている様子が黄色い歓声(死語)と共に記録されています。
ライブ会場の広さが感じられるのもスピーカーでの再生ならではです。
BTA30 Proは設定に慣れてしまえば様々なソースを手元のスマートフォンでコントロールできるので非常に便利です。
サブスク、ストリーミング環境では気になった楽曲やアーティストをどんどん掘っていけるのが大きな魅力です。
ここまではワイヤレス接続していましたがDAPを用いたUSB-DACとしての機能についても触れておきましょう。
今回使用したのは同じFiiO製のM9というDAPです。
以前の記事にも登場したコストパフォーマンスの高いDAPです。
BTA30 ProとはUSB-Cケーブルで接続し電源供給と再生を同時に行います。
USB-Cで接続すると電源はDAP側から供給されます。
再生可能時間は短くなりますのでご注意ください。
DAPのMicroSDに保存してあるハイレゾ音源を聴いてみます。
Queen / Bohemian Rhapsody
ビットレート:24bit/96kHz FLAC
稀代の名曲「ボへミアン・ラプソディー」を聴いてみます。
アップサンプリングすることにより、音像がはっきりしてくる傾向があるのですがこの音源はプラスに働くようです。
ギターソロに入る一瞬の間やフェードアウトしていく様子がより鮮明に聴こえてきます。
今はコロナウィルスが再び猛威を奮い始めていますが私たちも耐えながら「どちらにせよ風が吹く」のを待ちましょう。
対策をとりながらいつものように毎日を過ごしていくことが乗り越えるための方法なのかもしれません。
以上、elmarがお送りしました。