レンズ沼からこんにちは。
お久しぶりです、elmarです。
カメラ界隈は富士フィルム X100 VI の予約がとんでもない状況になっていますね。
特に海外からの受注が多く国内のユーザーに届くのは一体いつになるか分からないようです。
一方でNikon Z fは長らく続いていた品薄状態が改善され3月現在、すぐに購入ができるようです。
elmarはZ fを発売時から使い続けています。
記事はこちら
レンズはNikon Z fcでも使用しているZマウントと様々なオールドレンズを組み合わせています。
CP+2024 時点ではNikonからアナウンスはありませんでしたが2024年3月、NikonがREDを子会社化する事が発表されました。
REDは映画制作の現場で使われる真のプロフェッショナルカメラでシネマ用のPLマウントをはじめCanon、Nikon、LeicaMなどが利用出来ます。
REDを始めとしてシネマカメラはとんでもない金額なので実際に使う事はあまりないとは思いますが映画好きとしては「映画っぽい」映り方にも興味があります。
特に印象的なのがシネマスコープやシネラマといった規格で使用されたアナモルフィックレンズの描写です。
アナモルフィックレンズは一般的な球面レンズと異なる円柱状の光学系が特徴です。
簡単に言えば画角の左右を縮めて撮影して映写時に拡げるためのレンズです。
円柱状になっている事により独特の描写が生まれます。
・画面周辺に歪みが出やすい
・強い光源が映り込む際に左右方向に独特のフレアが生じる
・被写界深度が浅くなる
※アスペクト比の圧縮と拡張という重要な役割もあるのですが今回は描写を手軽に表現できるかを主眼に置いています。
この独特の描写を再現するためにいくつかのメーカーから現代のアナモルフィックレンズが販売されています。
SIRUI
SIRUI Venus 50mm T2.9 1.6x Full-Frame Anamorphic Lens
50mmフルサイズ対応で約17万円。
SLR Magic
SLR Magic 1.33x Anamorphot-CINE Lens Set
こちらはPLマウント仕様で50万円以上と高価です。
フォローフォーカスや絞りのモーター駆動が可能と完全にプロ向け仕様で趣味で使うにはハードルが高いです。
SIRUIには球面レンズ前端に取り付けるSIRUI 1.25x アナモフィック アダプター も存在していますがこれも6万円台のプライスになってしまいます。
この描写を再現するためにちょっと考えてみましょう。
被写界深度の浅さは大口径レンズを使えば再現できそう。
歪みも広角レンズを使えば近い描写にできるかもしれません。
光源に対してもフレアは球面レンズだけでは再現することは困難。
そこで見つけたのがこちらの光学フィルターです。
このフィルターは一定の方向にスリットが入っており光源の方向を制御できます。
つまり水平方向に合わせればアナモルフィックレンズ風の描写が得られる可能性があります。
早速、購入してみました。
このように薄いスリットが入っています。
フィルター枠を回転させる事ができますから好みの方向に合わせます。
スリットにはブルーが着色されており、光の滲みが青くなり古い映画っぽくなりそうです。
早速、NIKKOR Z 40mm F2 SEに装着して使ってみます。
スリットを横方向に設定して撮影しています。
ヘッドライトなど強い光に独特の流れが出ています。
Z 40mm F2 など現代のレンズだと滲みがはっきりし過ぎるように感じます。
もう少し焦点距離が長く1960年代の空気感を湛えたオールドレンズが似合いそうです。
今回チョイスしたのはこちら!
NIKKOR-H AUTO 85mm F1.8
このレンズの発売は1964年頃と言われています。
日本工学(現Nikon)が同社初の一眼レフカメラNikon Fを発売したのが1959年でしたから徐々にラインナップを拡大していった事が窺われます。
4群6枚構成の現代から見ればシンプルな工学系ですがずっしりくる鏡胴の造りもあって重厚な描写が期待できそうです。
Nikon Z f にマウントアダプターを介して装着するとこんな感じ。
当然の事ながらマニュアルフォーカス、マニュアル絞りのレンズです。
elmar的には当たり前すぎて説明してませんでした(汗
画面周辺のボケ方がオールドレンズらしくやや同心円上になる傾向があり楽しいです。
少し絞ればキリッと引き締まった描写に変化します。
それではブルーストリークフィルターを装着して撮影してみましょう。
スリットは水平になるように回転させて使用します。
このレンズのように前端が回転しないレンズであれば問題ありませんがピント合わせのために回転するタイプのレンズだと使いにくくなりますのでご注意ください。
このフィルターを活かすために夜間撮影を繰り返していると街の表情がいつもと違って見えてきます。
特に車のヘッドライトが印象的な舞台装置になります。
Z fの優れた点であるモノクロ撮影への切り替え機能を使って撮影も行ってみました。
やはりカラーを絡ませつつ滲ませるフィルターなのでモノクロはインパクトにかけるかもしれません。
さて、せっかくシネマ風フィルターを導入したのですから動画を撮ってみないとなりません。
夜間撮影のシーンをいくつか組み合わせてみました。
なかなか効果的で面白い映像が撮れています。
ジンバルなどと組み合わせて移動撮影も楽しそうです。
一般的にフィルターといえばレンズ保護用のプロテクトフィルターや反射防止用のPL(偏光)フィルターが使われる事が多いのですが今回紹介したストリークフィルターのような個性的なものも数多くありますのでいつもと違う描写を狙う時、カメラバッグに忍ばせておくと便利です。
様々な試行錯誤を経てあなただけの一枚を作り上げてください。
以上、elmarがお送りました。