暑さが続く毎日。
先日、散歩していたら熱中症になりかけたelmarです。
冬場はヘッドホンを通勤のお供にしていたのですがこの暑さでは蒸れてしまいかねません。
大量の汗はイヤーパッドも傷みが進みそうです。
普段使いとしてApple AirPods Pro 第1世代(2019) MWP22J/Aを使ってますがもう少し音質を上げたい気持ちもありました。
iPhoneとAirPodsProの組み合わせは空間オーディオやノイズキャンセリング等、メリットが多数ありますがコーデックはAACどまりでAppleMusicでハイレゾロスレス配信されている音源をフルスペックで聴く事ができません。
ワイヤードイヤホンにすれば音質向上ともう一つの目的(後述)も叶うじゃないか。
そんなわけでいろいろとワイヤードイヤホンを物色し始めました
ゼンハイザーのIE100Proあたりを狙っていたのですがある日、新製品情報を見つけました。
1DD+4BAのハイブリッド構成で16000円前後と安い。
イヤホンのドライバとしては一般的なダイナミック型と繊細な再生を得意とするBA(バランスド・アーマチュア)型を組み合わせています。
こういった形式のイヤホンはいくつか存在していますが比較的高価でありメジャーなメーカーであれば30,000円以上になる事もあります。
試聴はできませんでしたがこれは買って損はないだろうと判断して発売前に予約しました。
発売日(2024/7/12)に到着。
パッケージはこんな感じでしっかりとしたもの。
カラーはブラックをチョイスしました。
他にシルバー仕上げもあります。
本体外観はカスタムIEMを思わせる高級感あるものでカッコいい。
リケーブル対応でコネクタは2PINタイプ。
標準で3.5mmアンバランス銀メッキ高純度銅芯線ケーブルが付属します。
このケーブルは合計392芯線となる凝った構成でしなやかさもあり耳に掛けやすくなっています。
付属するイヤーピースは2種類3サイズのシリコンタイプが用意されており標準装備のイヤーピースは低音重視型が取り付けられています。
試聴はこの状態で始めます。
ソースはApple MusicをiPhone14Proで再生、専用ケーブルでFiiO BTR7と接続して行いました。
FiiO BTR7については以前、ご紹介しています。
BTR7と Bluetooth接続した場合はAACでの再生となりますが専用ケーブルで接続する事によりハイレゾ再生が可能です。
Back in Black/AC/DC
24bit/96kHz ALAC
本作前にヴォーカルが亡くなるという悲劇を乗り越えてのAC/DC起死回生のアルバムから表題曲を。
まさにロックの教科書といってもよい力強いリフが刺さります。
パワーコードのリフに入る前に小さく「1.2.3.4!」とカウントする声が録音されているのですが手持ちのAirPodsProではほぼ聴き取れません。
JH5で再生すると聴き取る事ができます(ただし爆音再生必須!)
低音の押し出しは強くはありませんがギターの歯切れの良さ、ヴォーカルの質感も高いレベルで再現されています。
心なしか声がAirPodsProで聴くより若いような印象を受けます。
Mela!/緑黄色社会
16bit/44.1kHz
英国のThe Band of the Coldstream Guardsの演奏隊が来賓歓迎のために演奏していたので気になって聴いてみました。
音数の多い楽曲ですがこのイヤホンは個々のヴォーカル、コーラス、各パートの楽器をキレイに描き分けて鳴ってくれます。
Burning/羊文学
24bit/96kHz ALAC
オルタナ系バンドですが某アニメのED曲で知りました💦
ラウドなベースとギターが支えるヴォーカルが魅力ですが膨れすぎない低音域が現代的。
ギターは時にはソリッドに定位しますが次の瞬間にはサウンドスケープのように全体を支配したりしますがどんな音場でも的確に描き分けてきます。
ブルー・トレイン/Johne Coltrane
24bit/96kHz ALAC
1958年のコルトレーン絶頂期といえる時代の録音でまさにモダンジャズの王道と言えそうな演奏です。
テーマのユニゾンから各楽器のソロに入っていくスピード感やテナーサックスの響きがよく指づかいまで見えるようです。
ヴォーカルもの同様に中音域はやや高めに聴こえるのかもしれません。
Helpless/クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング
24bit/96kHz ALAC
名盤【デジャ・ヴ】からニール・ヤングのHelplessを聴きます。
1970年の音源ですが丁寧なリマスターにより時代の空気感まで再現されているようです。
奥にドラムがあってギター、ベース、ヴォーカルの距離感が把握できる音場再現力がこのイヤホンにはあります。
Hotel California/イーグルス
24bit/192kHz ALAC
オーディオ試聴としてはド定番のこの曲ですが冒頭のマラカスがちょっと入るのですが個人的にはこれは砂漠が近い西海岸にもいるガラガラ蛇の演出じゃないかと思ってます。
その後にぐるりとシンバルが浮遊するように響くところと後半のギターソロの聴き分けを重点的に試聴しました。
ソロに入るとギタリストがステージ上で一歩前に出てくるかのように定位が変化しますがこの前後間も聴き分けられそうです。
Wonderwall/オアシス
16bit/44.1kHz
咳の後の一瞬の間からギターのストロークが始まる空間というか間(ま)が感じられるかが個人的には試聴ポイント。
ノイズキャンセリングが聴きすぎていると静かになりすぎてスタジオの狭さが演出っぽくなるのですがこのイヤホンならば丁度いいライブ感が聴けます。
さて、イヤーチップをバランス重視型に切り替えてみます
低域のレンジが狭くなった感じはしますが引き締まっているので痩せた感じはしません。
個人的にはベストバランスと感じます。
この組み合わせで試聴を続けます。
マーラー交響曲第4番/エリアフ・インバル指揮フランクフルト交響楽団
16bit/44.1kHz
1980年代、DENONレーベルの名録音。
クラシック音楽の録音は多数のマイクを各楽器の前に立てて録音して後でミキシングするマルチマイク録音が主流の時代。
本作はデジタル録音により実際のコンサートで聴いているような音場感を活かせる2本のマイクだけによるワンポイント録音が行われています。
スピーカーで聴く時は俯瞰で音が見えますがイヤホンの場合は会場最前列で聞いているような印象になります。
距離感はもう少し出てくれると更に没入できそう。
BeatifulWorld(2024Mix)/宇多田ヒカル
24bit/96kHz ALAC
2024年の最新Mixで更なるブラッシュアップが図られているようです。
コーラスやダブルヴォーカルの重層的な展開をしっかりと聴き分けられ中音域の解像度が高レベルである事を実感できます。
風をあつめて/はっぴいえんど
24bit/96kHz
日本のロックを語る上で最も重要なバンドといえる「はっぴいえんど」メンバーは細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂という超絶豪華な布陣。
現代の基準ではかなりナローレンジですが音の凝縮が心地よい楽曲。
イントロのギターの響きが温かくて昼下がりを再現できているように感じます。
さてここでFiiO JH5の全般的な評価をしていかなければなりません。
elmar的には標準ケーブル+バランス型イヤーチップがベストバランスだったのでこちらでの評価とさせていただきます。
チャートはmegさんのを拝借。
・総評
低音…★★★☆☆
中音…★★★★☆
高音…★★★☆☆
音場…★★★☆☆
定位…★★★☆☆
1DD+4BAのハイブリッド型イヤホンとしては非常によくできた製品と感じました。
ヴォーカル帯域ではかなりの表現力を持っていてどちらかといえばカッコイイよりカワイイ音が強いかな。
低域は不足してはいませんが裾野と表現力があると尚良いはず。
このあたりはバランス接続のリケーブルを変更する事で更なるパフォーマンス向上が期待できそうです。
総じて初めてハイレゾオーディオを聴きたい方やヘッドホンのサブとして携帯したい方には超絶オススメしたいイヤホンです。
冒頭で触れましたが今回、ワイヤードイヤホンを選択したもう一つの理由。
それはカセットプレーヤー FiiO CP13でオールアナログサウンドを愉しむ事です。
アナログレコードやカセットテープでオーディオに目覚めたキッズにとってはあの音の揺らぎや歪みを含めて記憶されているわけで音楽のエッセンスの一つでもあったのでしょう。
CP13については以前、レビューしていますのでご覧ください。
CloudNine/George Harrison
ジョージの独特な歌うようなギターが存分に楽しめる楽曲。
アナログカセットで聴くとギターの響きが心地よいです。
これはある程度の揺らぎというかワウ・フラッターが逆に気持ち良くさせているんじゃないかとも考えてしまいます。
カセットテープの場合、どうしてもヒスノイズが「サー」と入ってしまうのですが楽曲が流れている間はあまり気になりません。
FiiO JH5で聴いてもその印象は変わらずギターのタッチや響きの面白さに集中してしまうせいかもしれません。
Helpless /CSN&Y
AppleMusicで聴くハイレゾ音源の見通しの良さは望むべくもないのですがスティールギターの揺れや若きニール・ヤングのハイトーンヴォイスの滑らかさはアナログならでは。
ふと気が付くとカセットテープ音源が着々と集まってきています。
これも新たな沼ではあります。
FiiO JH5はリーズナブルな価格でハイブリット構成を体験できるイヤホンといえるでしょう。
日頃、ワイヤレス環境だけで聴いていて物足りなさを感じた時には選択肢の一つにいれてみてください。
以上、elmarがお送りしました。